[III-S07-1] 【基調講演】急性期治療ガイドライン改訂のポイントと国際比較
Keywords:川崎病, 急性期治療, ガイドライン
【背景】前回のガイドライン発表後,実態の変化と新しい成果を踏まえ8年ぶりに改訂した.治療アルゴリズムも改変し,エビデンスレベル・推奨クラス・保険適用を参考に,各line別に標準・推奨・考慮に区分した.【改訂のポイント】1)1st line:熱があれば免疫グロブリン静注(IVIG)とアスピリンによる初期標準治療は必須である.IVIG不応予測例には,IVIG単独以外にプレドニゾロン(PSL)またはシクロスポリン(CsA)の併用を推奨し,メチルプレドニゾロン(MP)パルスやウリナスタチン(UTI)の併用も考慮する.IVIGの投与時間が短縮しているため,不応例はIVIG終了後24~36時間の発熱を基準に総合的に判定することとした.2)2nd line:IVIG追加投与を推奨し,PSL,MPパルスのほか,インフリキシマブ(IFX)を考慮してもよい.3)3rd line以降: IVIG再追加,PSL,MPパルス,CsA,IFXのほか血漿交換(PE)を考慮してもよい.【欧米のガイドラインとの比較】ステロイドに関し,米国では1st lineとして,不応の高リスクと識別できれば(欧米では予測スコアの精度は良くない)IVIG+PSL併用,2nd lineとしてIVIG追加の代わりにMPパルス単独またはIVIG+PSL併用を考慮するとされている.欧州ではMPの通常量かパルス後のPSL投与を,不応予測例,血球貪食症候群,ショック, 1歳未満,冠動脈瘤合併例等に対する1st lineでのIVIGとの併用または不応例の2nd lineとして推奨している.IFXは米国では2nd line,欧州ではIVIGやステロイドに不応の3rd line,CsAとPEは米国では3rd line,欧州では専門家と協議のうえ検討するとされている.UTIについては欧米とも言及がない.【結語】新規知見を取り入れ日本の実状に合わせて改訂した.今後,国内での活用だけでなく,追試によってエビデンスをレベルアップし国外での普及をめざしたい.