The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

成人先天性心疾患

シンポジウム09(III-S09)
成人先天性心疾患「移行の実際ー移行はどのように行われ始めているかー」

Tue. Nov 24, 2020 3:00 PM - 5:00 PM Track4

座長:三谷 義英(三重大学大学院 医学系研究科 小児科学)
座長:八尾 厚史(東京大学)

[III-S09-5] 小児の自律への試みと患者教育の実際ー看護の役割ー

落合 亮太1, 佐藤 優希2, 秋山 直美1, 鈴木 姿子3, 権守 礼美4, 仁田 学5 (1.横浜市立大学 医学系研究科 看護学専攻, 2.国立成育医療研究センター研究所 小児慢性特定疾病情報室, 3.横浜市立大学附属病院 看護部, 4.榊原記念病院 看護部, 5.横浜市立大学 医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学)

Keywords:小児医療から成人医療への移行, 小児慢性特定疾病児童等自立支援事業, 移行期医療支援センター

海外では、移行期医療に関して観察研究に加え複数の介入研究が行われ、システマティックレビューも報告されている。先天性心疾患を含む小児期発症疾患患者への移行期支援に関するRCT4本を対象としたコクランレビューでは、介入により患者の知識や自己効力感の向上が報告されている。観察研究を含めた33本の研究を対象としたシステマティックレビューでは、介入により患者のアドヒアランス向上と成人期医療機関の適切受診の促進が報告されている。また、移行準備性評価ツールも複数開発されている。一方、国内の研究は診療体制や患者の受診状況の実態調査、移行準備性評価ツール開発研究が多い。近年、介入研究が散見されつつある。
国内の移行期医療支援体制については、日本小児科学会事務局が本年度、小児科専門医研修施設対象に実施した全国調査の結果を待ちたい。成人先天性心疾患看護ワーキンググループでの議論を踏まえると、移行期支援外来は小児病院を中心に一部の施設で開設されており、主に小児科医と看護師により運営されている。支援としては心臓の絵を描くなど患者の病状に関する教育、成人医療機関への移行準備、移行準備性評価ツールの使用などが行われている。しかし、多くの施設で移行期支援外来および移行期医療担当部署はなく、主治医の裁量に任されている。また、移行期の患者は外来診療が中心だが、看護師が外来患者に接する機会は限られており、入退院支援や心臓リハビリテーションなど、看護師が関与する既存の機会の活用が模索されている。また、移行期医療の役割の一つである自立・自律支援には小児慢性特定疾病児童等自立支援事業や移行期医療支援センターとの連携も必要だが、未確立な地域が多い。
本邦でも移行期医療における支援内容や移行準備性評価ツールは整理・開発されてきたが、その提供体制は発展途上である。既存資源との連携を含めた体制確立と効果評価が必要である。