[III-S09-7] 横浜ACHD診療から見えてくるもう一つの移行医療
キーワード:成人先天性心疾患, 診療体制構築, 移行医療
[背景]成人先天性心疾患(ACHD)の診療体制構築では小児科から循環器内科への“移行医療”の重要性が認識され、議論の中心である。当院では2016年4月よりACHD専門外来を始動し、4年が経過した。当初想定していた小児循環器医を中心としたCHD専門医からの紹介以外に、CHD非専門医からの紹介が多く、紹介後の経過が異なることを経験した。今回CHD専門医からの紹介と非専門医からの紹介例の臨床的特徴の違いを明らかにすることを目的とした。
[対象と方法]対象は2016年4月から2019年7月までに紹介された計230例(平均年齢37歳、男性97例)。CHD専門医からの紹介例と非専門医からの紹介例の背景因子、紹介後の侵襲的治療適応を診療録より後方視的に検討した。
[結果] 121例(53%)が非専門医からの紹介で、うち91例(75%)は循環器内科医であった。109例(47%)の専門医からの紹介のうち86例(79%)は小児循環器医であった。非専門医からの紹介患者の特徴として1.年齢が高く(41.6±16.3 vs. 32.0±12.0歳、p<0.01)、2.単純心奇形が多く、複雑心奇形が少ない(27.0% vs. 12.8%、16.5% vs. 40.4%、p<0.01)、3.通院中断経験が多い(16.5% vs. 3.7%、p<0.01)、4.紹介後に侵襲的治療(手術/カテーテル治療)適応と判断される症例が多く含まれていた(47.9% vs. 26.6 %、p<0.01)。中でも注目すべきは侵襲的治療適応と判断された症例の中で、非専門医からの紹介例では紹介時に侵襲的治療を意識されていない症例が多く、特に疾患複雑度別では、中等度複雑心奇形でその差が顕著であった(50.0% vs. 23.3%, p=0.02)。
[結語]非専門医が侵襲介入を要する多くのACHD患者を診療している現状を浮き彫りにしており、ACHDの移行医療にはこれまで強調されてきた“小児科から成人循環器内科への移行”以外に、“非専門医からACHD専門医への移行”を内在することを示唆している。これら2つの移行医療に対応するため、ACHD専門施設はより大きな収容力が求められる。
[対象と方法]対象は2016年4月から2019年7月までに紹介された計230例(平均年齢37歳、男性97例)。CHD専門医からの紹介例と非専門医からの紹介例の背景因子、紹介後の侵襲的治療適応を診療録より後方視的に検討した。
[結果] 121例(53%)が非専門医からの紹介で、うち91例(75%)は循環器内科医であった。109例(47%)の専門医からの紹介のうち86例(79%)は小児循環器医であった。非専門医からの紹介患者の特徴として1.年齢が高く(41.6±16.3 vs. 32.0±12.0歳、p<0.01)、2.単純心奇形が多く、複雑心奇形が少ない(27.0% vs. 12.8%、16.5% vs. 40.4%、p<0.01)、3.通院中断経験が多い(16.5% vs. 3.7%、p<0.01)、4.紹介後に侵襲的治療(手術/カテーテル治療)適応と判断される症例が多く含まれていた(47.9% vs. 26.6 %、p<0.01)。中でも注目すべきは侵襲的治療適応と判断された症例の中で、非専門医からの紹介例では紹介時に侵襲的治療を意識されていない症例が多く、特に疾患複雑度別では、中等度複雑心奇形でその差が顕著であった(50.0% vs. 23.3%, p=0.02)。
[結語]非専門医が侵襲介入を要する多くのACHD患者を診療している現状を浮き彫りにしており、ACHDの移行医療にはこれまで強調されてきた“小児科から成人循環器内科への移行”以外に、“非専門医からACHD専門医への移行”を内在することを示唆している。これら2つの移行医療に対応するため、ACHD専門施設はより大きな収容力が求められる。