[OR05-1] 3D プリンティングを応用した超軟質精密心臓レプリカによる複雑先天性心疾患の手術手技支援-医療機器承認および多施設臨床治験の開始について
Keywords:complicated congenital heart disease, 3D printing, simulation
[背景]我々は複雑先天性心疾患の手術支援を目的に、精密3Dプリンティングである光造形法と真空注型法をハイブリッドさせた技法で、「超軟質精密心臓レプリカ」を開発し、その有用性を報告してきた。2019年には一般医療機器「立体臓器模型」として承認され、現在では全国の施設で使用可能となった。本機器がさらに多くの患者に有効に利用されるには、管理医療機器として保険償還される必要がある。そこで有用性を客観的に検証する目的で、先天性心疾患レプリカでは世界に先駆ける形で医師主導治験を開始した。[治験プロトコール]複雑先天性心疾患の8疾患群(DORV, TGA, ccTGA, CoA/IAA, multiple VSD, SV (unbalanced AVSD含む), PA (重度PSのTOF含む), HLHSおよび類縁疾患)のうち、心臓大血管の立体構造が極めて複雑で、手術前に心臓レプリカを用いた形態診断および手術シミュレーションが必要な15歳未満の20例。緊急手術例は除外する。手順は、同意取得→MSCT撮影→3次元画像処理→医師による画像補正および承認→術前有用性評価→術後30日の有用性評価→評価委員による検証、で構成される。主要評価項目は術後評価でのLikert Scaleで、essentialと総合評価された症例の割合とする。具体的には、まず各疾患の解剖学的部分診断(3-16カ所)および総合評価をLikert Scaleに基づく5段階評価(essential, very useful, useful, not useful, misleading)で行う。次に、essentialが1カ所以上あり、not usefulとmisleadingがない場合を総合評価でessentialとする。さらにその評価を有用性委員3名により検証する。[結論]今回の医師主導治験の実施により、超軟質精密心臓レプリカが複雑先天性心疾患の外科手術における有用性を客観化し、管理医療機器申請を行うとともに保険償還を取得し、患者の予後改善のために心臓外科手術支援に役立てる予定である。(本研究は(株)クロスエフェクト社の協力で行われた。)