第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

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デジタルオーラル(I)05(OR05)
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指定討論者:武田 充人(北海道大学医学部 小児科学講座)
指定討論者:石川 友一(福岡市立こども病院 循環器科)

[OR05-5] 小児心筋症における心臓MRIのT1mappingで得られる心筋評価の有用性 ~T1mapping法で心筋の繊維化を真に推測できるか~

石井 良, 石田 秀和, 吉原 千華, 江見 美杉, 平野 恭悠, 小垣 滋豊, 成田 淳, 大薗 恵一 (大阪大学 医学部 小児科学)

キーワード:T1mapping, ECV, 小児心筋症

【背景】小児の心筋症に対して、心臓MRI(CMR)のT1mappingを用いたGlobalな心筋性状評価やその結果と心筋病理所見を比較された報告は少ない。【目的】T1mappingで得られるnativeT1値やExtracellular volume fraction (ECV)が、心エコーやカテ検査での心機能評価項目との相関を、さらに小児心筋症の心筋全体の線維化を正確に評価できるかを検討した。【方法】Philips社1.5TCMRを用いてT1mappingと遅延ガドリニウム造影(LGE)が行われた、心筋症患者と対照として心内修復後患者(ICR)について、同時期に施行した心エコーとカテ検査(心筋生検)項目を後方視的に検討した。【結果】心筋症は28例(10±5.4才; DCM5, RCM11, HCM4, 心筋炎後8)、ICRは11例(16.2±3.5才, p<0.001; TOF4, VSD2, その他5)であった。T1値とECVは、ICRと比較し心筋症で有意に高値であったが(1074±90vs1018±51ms, p<0.03; 37±7vs29±3%, p<0.001)、心筋症群間の有意差は認めなかった(DCM; 1075±28, 38±10, RCM; 1098±97, 36±4, HCM; 1079±21, 39±3, 心筋炎後; 1041±23, 35±6)。LGE陽性はHCM1例、心筋炎後3例であり、同部位のT1値は1119±33、ECVは53±6%であった。LVEDP、CI、LVEF、Tei、E/e’、BNPなどの心機能指標とは相関を認めなかった。右室心内膜心筋生検から得られた線維化率は、ECVと有意な相関が得られた(r=0.65, p<0.001)。ECVが高値で線維化が明らかに低い症例は3例認め、2例で細胞空砲変性が顕著であった。【考察】T1mappingは、局所の病変評価に過ぎない心筋生検に対して、Globalな心筋の線維化や心筋細胞間の浮腫の程度を非侵襲的に評価できる。また、正常心機能へ改善したと思われた心筋炎後の症例は、ECVが高く今後注意深い経過観察が必要である。