[OR07-3] 心房中隔欠損カテーテル治療の限界点. 自験例からの考察
Keywords:経皮的心房中隔欠損閉鎖術, 限界点, 安全性
【背景】心房中隔欠損症(ASD)に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術の限界点は、明らかではない。【目的】当院で行った経皮的心房中隔欠損閉鎖術症例を後方視的に検討し、device留置の限界点を考察する。【方法】当院で行った経皮的心房中隔欠損閉鎖術のうち、合併症例および留置を断念した症例に対し、その要因を後方視的に分析した。【結果】当院で2005年8月から2019年12月までに行われた経皮的心房中隔欠損閉鎖術401例のうち、合併症をきたした症例および留置を断念した10例を対象とした。内訳は、Amplatzer Septal Occluder (ASO) 9例、Occlutech Figulla Flex2 (FF2) 1例で、合併症3例、留置断念7例であった。合併症例は全てASO留置後のもので、erosion 1例、migration 2例であったが、留置を断念した症例を含めた9例は全てFF2併用前の症例であった。Erosionの原因はaneurysmalな心房中隔 (IAS)による留置後のdeviceの移動によるもので、2例のmigrationはそれぞれ下縁がやや低形成かつ左房が小さめであったものと、中隔のmalalignmentを認めたものであった。留置断念例7例のうち、6例はIAS長に対し欠損孔が過大であった症例、1例はAortic rimからsuperior rimにかけ広範にrimが欠損していた症例であった。【考察】ASDに対するdevice治療においては、何よりも安全性が優先される。下縁が欠損しているか低形成な症例は、外科手術を優先するべきである。Superior rim低形成例については、欠損孔のサイズに対するIASおよびLA roofとの関係を慎重に評価し、またmalalignmentを認める症例もその程度を評価する必要があるが、いずれの場合もより大きなdeviceが必要な症例については撤退する勇気も必要である。IASに対し欠損孔が過大な症例については、留置後の小児の身体発育を過大評価して大きなdeviceを置くべきではないと考える。