[OR08-1] Bicuspid PTFE valveを用いた右室流出路形成術(Nunn法)における経皮的肺動脈弁置換術の可能性
キーワード:Fallot四徴, 右室流出路形成, 経皮的肺動脈弁置換術
【背景と目的】Fallot四徴症(TF)の右室流出路再建(RVOTR)では遠隔期の再手術が課題で,近年海外では経皮的肺動脈弁置換術(TPVI)を見据えたRVOTRも検討されている.当施設ではTF/類縁疾患のRVOTRに,自己組織を可及的に温存しBicuspid PTFE valveを用いたNunn法を選択している.バルーン肺動脈弁形成術(BPV)を行った自験例を通じ,Nunn法でのTPVIの可能性と課題を検討する.
【対象と方法】2007年1月から2017年12月にNunn法RVOTRを施行した38例(術後観察期間1年4ヵ月~12年5ヵ月:中央値 7年9ヵ月)のうち,BPVを施行した3例を後方視的に検討した.なお,38例中肺動脈弁逆流(PR)が原因の再手術例はなく,右室流出路狭窄合併の1例を除き,肺動脈弁狭窄(PS)の再手術例もなかった.3例の診断はTF(1例は肺動脈閉鎖)で,RVOTR時月齢/体重(kg)は14/8.6,18/8.9,23/9.4であった.
【結果】BPV施行は術後10~12年で,弁輪/弁尖に石灰化を伴い弁尖の可動性低下を認めた.肺動脈弁逆流(PR)は全例軽度で良好に制御され,右室流出路の著明な拡大はなかった.BPVは高耐圧バルーンを用いたダブルバルーン法で,肺動脈弁輪径(mm)/シングルバルーンに換算したバルーン径(対肺動脈弁輪径%)は,14.9/121,20.0/99,18.3/108であった.BPV時冠動脈の圧迫は認めなかった.BPV前/後で,PSの圧較差(mmHg)は80/30,35/25,50/30と改善,右室圧/左室圧比は0.60/0.40,0.63/0.37,0.70/0.35と改善した.BPV後も弁尖の後方固定は外れることなく残り,2弁尖として可動性が改善しPRの増悪はなかった.
【考察と結論】Nunn法はPR制御効果に優れ,PSに対しBPVが有効であったことから,従来のRVOTRに比べ再手術時期を遅らせうる可能性がある.弁輪径や右室流出路形態からはTPVIも施行可能と考えられたが,弁尖の後方固定が外れ1弁化するか,弁輪や周囲組織がステントの安定した留置に十分な硬度を有するか,検証が必要である.
【対象と方法】2007年1月から2017年12月にNunn法RVOTRを施行した38例(術後観察期間1年4ヵ月~12年5ヵ月:中央値 7年9ヵ月)のうち,BPVを施行した3例を後方視的に検討した.なお,38例中肺動脈弁逆流(PR)が原因の再手術例はなく,右室流出路狭窄合併の1例を除き,肺動脈弁狭窄(PS)の再手術例もなかった.3例の診断はTF(1例は肺動脈閉鎖)で,RVOTR時月齢/体重(kg)は14/8.6,18/8.9,23/9.4であった.
【結果】BPV施行は術後10~12年で,弁輪/弁尖に石灰化を伴い弁尖の可動性低下を認めた.肺動脈弁逆流(PR)は全例軽度で良好に制御され,右室流出路の著明な拡大はなかった.BPVは高耐圧バルーンを用いたダブルバルーン法で,肺動脈弁輪径(mm)/シングルバルーンに換算したバルーン径(対肺動脈弁輪径%)は,14.9/121,20.0/99,18.3/108であった.BPV時冠動脈の圧迫は認めなかった.BPV前/後で,PSの圧較差(mmHg)は80/30,35/25,50/30と改善,右室圧/左室圧比は0.60/0.40,0.63/0.37,0.70/0.35と改善した.BPV後も弁尖の後方固定は外れることなく残り,2弁尖として可動性が改善しPRの増悪はなかった.
【考察と結論】Nunn法はPR制御効果に優れ,PSに対しBPVが有効であったことから,従来のRVOTRに比べ再手術時期を遅らせうる可能性がある.弁輪径や右室流出路形態からはTPVIも施行可能と考えられたが,弁尖の後方固定が外れ1弁化するか,弁輪や周囲組織がステントの安定した留置に十分な硬度を有するか,検証が必要である.