[OR09-3] 母体抗SS-A/SS-B抗体陽性の児に発症した洞不全症候群3症例の検討
Keywords:洞不全症候群, 母体抗SS-A/SS-B抗体, ペースメーカー
【背景】母体抗SS-A/ SS-B抗体陽性の児では完全房室ブロックの合併が多く知られているが、洞不全症候群(SSS)をきたす症例は稀である。当院で出生した母体抗SS-A/SS-B抗体陽性の児におけるSSSの3症例について報告する。【症例1】在胎25週に70-80/分の除脈を認め当院紹介。精査により胎児洞不全症候群、母体抗SS-A抗体陽性が判明した。胎児水腫を認めたため母体リンデロン投与を行ったところ、胎児胸腹水の消失とともに、心拍も80-90/分へ改善した。出生後は左房調律だが安静時60回/分を保ち、体動により110回/分まで上昇を認めた。外来経過観察中に心機能低下を認め、現在内服調整中である。【症例2】母体Sjogren症候群の児。前医にて経過フォロー中、RR延長を認めたため当院紹介。8歳時のHolter心電図検査でRR 4.14secと延長を認め、ペースメーカー植え込み術(PMI)を施行した。【症例3】胎児超音波で心内膜輝度上昇を指摘され当院紹介。母体抗SS-A抗体および抗核抗体陽性であった。出生直後に三尖弁逆流を認めたが自然軽快。出生時は洞調律で入眠時心拍80回/分、安静時心拍100-110回/分であった。保存的に経過観察されていたが、5歳時のHolter心電図検査でR-R 6secの洞停止を認め、PMIを施行した。【考察】母体抗SS-A/SS-B抗体陽性の児では、出生時徐脈の顕在化はなくとも遠隔期に洞停止を認め、心筋障害を伴う症例が存在する。母体抗SS-A/SS-B抗体陽性の児では、無症候性の症例でも遠隔期までの経過観察が必要である。