[OR09-4] Ebstein病合併WPW症候群への3Dマッピングシステム “RHYTHMIA”の有効性
Keywords:3Dマッピングシステム, Ebstein奇形, カテーテルアブレーション
【背景】Ebstein病(ED)は約25%に副伝導路(AP)を合併し、頻拍を認める例では弁形成術前にカテーテルアブレーション(CA)が必要となる。既存の3Dマッピングシステムでは真の三尖弁輪の認識が難しく、CAの成功率が低く、通電回数も多くなる。Rhythmia(RTM)は超高密度、高精細、多点マッピングとintelligent annotationなどの特殊な電位認識アルゴリズムにより正常心では弁輪位置を明瞭に示すことができる。EDへのRTMの使用経験を報告する。【症例1】25歳女性、Carpentier分類(type)B。5歳と12歳時に房室回帰頻拍(AVRT)に対してCAを行い、APは前中隔、後中隔、前壁から右後側壁にかけて広範囲に認めた。頻拍が再発し、CA再施行。最早期心室興奮部位(EAVS)は後中隔(5時)、最早期心房興奮部位(EAAS)は前中隔(2時)でAPの斜走を認めた。三尖弁輪5時で洞調律下に通電し初回6.8秒でAPを離断できたが、3ヶ月後に頻拍の再発を認めた。成功通電部位の洞調律時の心房波/心室波比(A/V比)は1.1で、RTM上の成功通電部位と弁輪の距離(RTM-D)は4.7mmであった。 【症例2】8歳女性、type C、AVRT既往あり、三尖弁形成術前にCA施行。EAVSは右後側壁(8時)、EAASは右後側壁(7時)であった。三尖弁輪7時で洞調律下に通電し2回目に1.5秒で離断できた。A/V比(洞調律)は0.9で、RTM-Dは1.9mmであった。【症例3】22歳女性、type A、AVRT既往ありCA施行。EAAS、EAVSは共に右後壁(6時)で斜走なし。三尖弁輪6時で心室刺激下に通電し、初回2.7秒で離断できた。A/V比(心室刺激)は1.0で、RTM-Dは0mmであった。【結論】成功通電部位は平均A/V比1.0±0.1、平均RTM-D 2.2±1.9mm、通電開始から離断までに要した時間は平均3.7±2.3秒であった。RTMがEAの全症例で真の三尖弁輪と副伝導路を示し、距離の長い斜走の伝導も示した。