The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラル(I)10(OR10)
電気生理学・不整脈2

指定討論者:坂口 平馬(国立循環器病研究センター 小児循環器科)
指定討論者:畑 忠善(藤田医科大学大学院 保健学研究科)

[OR10-1] 先天性QT延長症候群におけるICD/S-ICD植込みの現状

後藤 浩子1,2, 桑原 直樹1, 寺澤 厚志1, 山本 哲也1, 田中 秀門1, 桑原 尚志1, 割田 俊一郎2, 野田 俊彦2 (1.岐阜県総合医療センター 小児循環器内科, 2.岐阜県総合医療センター 不整脈科)

Keywords:QT延長症候群, ICD, S-ICD

【背景】近年、完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)が使用可能となり、VFをきたす先天性QT延長症候群(LQTS)ではICDまたはS-ICDが選択されている。S-ICDはICDに比べてリードトラブルや感染のリスク低下が期待されるものの、誤作動が懸念されている。
【目的】LQTSにおけるICD/S-ICD植込み後の現状を明らかにする。
【対象と方法】LQTSのうち、除細動器植込みを施行した13名(男性(4),女性(9))について植込み後の経過を検討する。
【結果】植込み13名の遺伝子型はLQT1(2), LQT2(4), LQT3(3), 不明(4)。植込み年齢は2~72歳。植込み後全例服薬あり。植込み種類はICD9名、S-ICD4名。S-ICD植込み4名はペーシングを必要とせず、長期心内リード留置回避のため選択された。植込み後平均観察期間はICD7年7か月、S-ICD1年11か月。リード断線はなかったが、リード接続部がゆるみ閾値上昇が1例(ICD)あった。感染なし。機種移行なし。適切作動は17回/4名でICD症例。作動症例4名の主な作動状況はLQT1男(学校行事)、LQT1女(旅行)、LQT2女(自宅家事)、LQT3男(睡眠)。誤作動は3回/1名でS-ICD症例。誤作動症例はVF既往のあるLQT2 17歳女子で、緊張時にT波が変動しT波の感知による誤作動を来した。そのため、エクササイズテストとベクトル設定を繰り返し行った。LQTSのS-ICD例では成長によるR波高の変化やT波の変動に注意し、ベクトルの見直しやエクササイズテストを頻回に行う必要があると思われた。まだS-ICD導入後の初期段階であるため、今後の観察が重要である。
【結語】ICD植込み例は除細動が適切に行われた。S-ICD植込み例は短い観察期間内でリードトラブルはないものの、T波の感知による誤作動が起きた。LQTSではT波が多彩に変化するため、ベクトル確認や安静時および頻拍時の電位を繰り返し検査する必要がある。誤作動についてはS-ICDアルゴリズムの進歩や対応リードの開発が今後の課題と思われた。