第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

集中治療・周術期管理

デジタルオーラル(I)12(OR12)
集中治療・周術期管理2

指定討論者:大﨑 真樹(静岡県立こども病院 循環器集中治療科)
指定討論者:佐々木 孝(日本医科大学 心臓血管外科)

[OR12-2] 長期の低酸素換気療法にて管理した高肺血流肺高血圧心室中隔欠損の極低出生体重児の管理の経験

横山 岳彦, 犬飼 幸子 (名古屋第二赤十字病院 小児科)

キーワード:極低出生体重児, 高肺血流肺高血圧, 低酸素換気療法

【始めに】極低出生体重児に先天性心疾患を合併した場合その治療手段が限られ、心不全のため体重増加も得られずに治療に難渋することがある。特に、肺高血圧を伴った先天性心疾患では、体重増加不良が問題となる。今回、高肺血流肺高血圧心室中核欠損症(VSD-PH)をともなった極低出生体重に対し、低酸素換気療法を施行し、良好な体重増加をえられ管理できたので報告する。【対象】【症例1】31週1日 1192g 男児 妊娠30週に血性退下をみとめ入院管理開始。在胎31週0日で破水。子宮内感染症のため緊急帝王切開で出生。入院時の心臓超音波検査で膜様部に5mmのVSDを確認。日齢16から低酸素換気療法を開始した。順調に体重増加をみとめ、日齢66に低酸素換気療法から離脱を開始したところ、不機嫌、陥没呼吸を認めたため、日齢91、体重4045gで肺動脈絞扼術を施行した。日齢122退院し、月齢25に根治術を施行した。【症例2】22週5日486g 男児 妊娠16週より不正性器出血をみとめ入院管理中、陣痛抑制困難にて骨盤位のため緊急帝王切開で出生。生後26時間で膜様部に3.1mmのVSDを確認。日齢6から低酸素換気療法を開始した。順調に体重増加をみとめ、日齢113に低酸素換気療法から離脱。高肺血流となったことを確認し、日齢155に体重2935gで肺動脈絞扼術を施行した。【結語】VSD-PHを伴ったVLBWIでも低酸素換気療法により、心不全を管理し、体重増加を得ることができた。超低出生体重児では低酸素換気療法の効果が不良であるとの報告もあるが、必要と判断された場合に可及的速やかに導入することにより肺血管抵抗を維持することができるのではないかと思われた。また、長期の低酸素換気による肺高血圧が残存する懸念があり、注意深い経過観察と今後の症例の蓄積が必要ではないかと思われた。