[OR14-4] Fontan術後患者における骨密度の検討
Keywords:フォンタン術後, 骨密度, 骨粗鬆症
【緒言】Fontan術後患者における骨密度異常の報告が散見されるが、その原因は明らかになっていない。【目的】Fontan術後患者の骨密度異常と臨床因子との関連を明確にする。【対象と方法】2018年から2020年に当院で骨塩定量を施行したFontan術後患者22例を対象とし、測定した骨密度のZスコアとTスコア(若年成人の平均骨密度を指標に規定した値で20歳以上に使用)と臨床因子との関連性を検討した。【結果】年齢は中央値19.6(9.9-38.2)歳、Fontan術後経過年数は15.5(3.5-31.8)年。PLE合併は1例いたが、ステロイド投与例はいなかった。骨密度のZスコアは-1.1(-2.6-1.0)、Tスコアは-1.8(-4.7-1.0)で、骨粗鬆症の診断基準であるTスコア<-2.5SDもしくはZスコア<-2SD(20歳未満)の症例は9例(41%)いた。ZスコアもしくはTスコアは、NYHA分類と有意に負相関したが(p=0.01)、心拍出量, 中心静脈圧, 肺血管抵抗, BNP, peak VO2などの血行動態の指標とは有意相関しなかった。内分泌的指標を検討できた症例は11/22例で、ALP 259.5(95-997) U/L, intact PTH 41(19-99) pg/ml, 25(OH)D 21.2(5.7-35.2)nmol/L, 血清Ca 9.1(4.6-9.6)mg/dl, P 4.0(3.4-7.9)mg/dlであった。2例は、続発性副甲状腺機能亢進(25(OH)D<20nmol/L、intact PTH≧65pg/ml)の所見があり、いずれも骨量減少(Tスコア<-1.0)していた。腰椎圧迫骨折を合併した症例は1例いた。12歳女児でNYHA3度、骨密度のZスコア-4.7、血清Caの低値に加え、25(OH)Dも低値であり、活動性低下やビタミンD欠乏が主因と考える。【結語】Fontan術後患者の骨密度は低下しており、NYHAと有意に負相関し、日常活動能低下との関連が示唆された。Fontan術後の骨密度低下に関しては、続発性副甲状腺機能亢進との関連も報告されているが、今後症例数を蓄積して検討していく必要がある。