[OR16-3] 全国小児病院循環器科における医療的ケアを要する心疾患児についての現状調査
Keywords:医療的ケア児, 在宅医療, 長期入院
【背景】先天性心疾患においても、染色体異常などの併存症・合併症に伴い、人工呼吸器、気管切開、経鼻・胃瘻栄養などの医療的ケアを要する患者が増えている。医療依存度が高く、長期入院している患者も一定数存在すると考えられる。【目的】小児病院循環器科の医療的ケアを要する心疾患児の在宅診療への関与を調査する。【方法】全国小児病院循環器科連絡協議会所属19施設に小児循環器分野で在宅医療的ケアを受けている患者についてのアンケート調査を行った。【結果】全施設より回答を得た。施設病床数は中央値265。医療的ケアを理由に1年以上入院している症例は0から5(中央値1)。在宅酸素・エポプロステロール持続静注以外の医療的ケアを要する通院例は5から60(中央値10)。在宅医療的ケア心疾患者を主に自施設で診療しているのは15施設(79%)で、このうち入院を循環器科が診療しているのは13施設(全体の68%)であり、10施設が「自施設で診療を続けるのはやむを得ない」と回答した。7施設(37%)で「いわゆる在宅診療支援室が機能していないか、存在しない」と回答した。地域で、自施設と他施設の医療者がカンファレンスを行うなど、在宅医療的ケア患者の診療体制の整備を行っているのは11施設(58%)であった。長期入院患者に対して、在宅療養に向けた取り組みとして、13施設が「在宅診療支援室」が積極的に活動していると回答した。しかしこのうち重複回答した6施設を含む9施設で主治医や病棟看護師で定期的カンファレンスを開いていると回答した。【考察】多くの施設で長期入院例を抱え、在宅医療移行後の入院も自科で診療していた。在宅移行も循環器科主治医の関与が大きいことが示唆された。在宅診療支援室を持つ施設は多いが、心疾患児についての支援確立は少数で、自由回答では感染症科、総合診療科、在宅診療科など他科の充実を望むとする回答も多く、施設全体の問題として捉える必要がある。