[OR18-2] 当院におけるACHD診療の取り組みー地域中核総合病院内の小児病院としてー
Keywords:成人先天性心疾患, 移行医療, 診療体制
(背景)当院は地域中核総合病院内にある小児病院という利点を生かし、小児CHD患者のみならず、ACHD患者の診療にも成人各科との連携のもと院内で包括的に対応してきた。一方1993年開院でACHD診療の歴史は比較的浅く、今後急激に増加することが予想されるACHD患者への対応と体制作りが求められている。(目的)当院におけるACHD診療の現状と取り組みを評価し、成人期医療への移行・体制構築に向けて課題を検討すること。(方法)18歳以上のACHD患者の外来患者、入院患者、手術件数、カテーテル治療の推移を検討。また成人期医療への移行、体制構築に向けての取り組みを評価した。(結果)1、ACHD診療の現状:ACHDの外来延べ患者数は2011年404名→2019年1536名と増加。一方18歳以上での初来時年齢は10-20歳台で90%以上を占め多くが院内からの移行患者であった。入院患者数(26→73)、手術件数(5→23)、カテーテル治療(6→17)、不整脈治療とも増加。2、成人期医療への移行・体制構築に向けての取り組み:1)成人先天性心疾患外来の創設(2018年)高校生ー大学生で移行。成人ブースで週2回小児循環器医が担当。今後成人循環器医との併診、移行を計画2)AYA病棟の設立(2018年)15-30歳をめどにAYA世代の自立を目指した診療・看護体制、心理支援を開始3)症例に応じた成人各科との連携は比較的円滑に行えている。一方コメディカルの教育・参画や定期的な院内合同カンファレンス、近隣紹介施設への啓蒙活動など課題は多い。(まとめ)当院のACHD患者は院内からの移行患者が多く今後さらに急速に増加するものと予想される。施設としてACHD診療に対応できる条件は備えているが体制構築は道半ばである。現在は小児循環器医が中心に診療を行なっているが、成人循環器グループのさらなる参画およびACHD専従医の養成が急務である。循環器以外の成人各診療科とのさらなる共同および多職種専門職によるサポートの充実も重要である。