The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

デジタルオーラル

成人先天性心疾患

デジタルオーラル(I)18(OR18)
成人先天性心疾患2

指定討論者:上村 秀樹(奈良県立医科大学附属病院 先天性心疾患センター)
指定討論者:森田 紀代造(東京慈恵会医科大学附属病院 心臓外科)

[OR18-3] 先天性心疾患症例の人工弁での肺動脈弁置換術における中期成績の検討-人工弁サイズによる予後評価-

松尾 諭志, 齋木 佳克 (東北大学病院 心臓血管外科)

Keywords:肺動脈弁置換, 先天性心疾患, 人工弁

(背景)人工弁による肺動脈弁置換術(PVR)は近年多く行われているが、適切な人工弁サイズの基準は明確でない。そこで、当科で施行したPVR症例について検討した。(方法)2009年3月から2019年7月までに先天性心疾患症例に対してPVRを施行した38例を対象とした。男性22名。PSを有するTOF/DORV24名、PAが3名、その他11名。手術時平均年齢は40.7±15.1歳、体重55.7±11.6kg。術前NYHAは1.9±0.7。人工弁の種類はウシ心膜弁35名、ブタ心膜弁2名、機械弁1名。人工弁サイズは24±1.7mm。術後平均観察期間は4.9年±3.2年。PVR前後での臨床所見、エコー、MRIデータをvalve size/BSA15以上(L群,21名)、15未満(S群,17名)に分けて後方視的に検討した。(結果)L群、S群の術前のRVEDVIは167±13.2, 185±14.9 ml/m2、RVESVIは103±10.8, 103±12.8ml/m2、RVFACは28±2.2, 30±2.7%、LVEFは50±3.6, 55±3.8%。周術期死亡はなし。遠隔期死亡は4名全例L群に認め、内訳は心不全と心室細動が1名ずつ、心臓外疾患で2名だった。5年生存率は各群83.1、100%だった。術後再手術は両群共になし。直近のNYHAは両群1.2±0.08で術前に比べ両群とも低下した(P<0.01)。RVFACは29.9±2.5, 32.0±2.7%、LVEFは56.4±2.4, 58.3±2.8%で両群間に有意差はなく、術前に比べ有意な改善はなかった。人工弁位の流速は1.9±0.1, 2.3±0.1m/sでS群で有意に(P=0.02)速かった。またmoderate以上のPRはL群0名、S群4名で有意にS群に多かった(P=0.03)。RVEDVIは111±18.0, 141±15.5 ml/m2、RVESVIは59±18.9, 93±16.3ml/m2、RVFACは29±2.5, 32±2.8%、LVEFは56±2.4, 58±2.8%で、両群間に有意差はなかった。両群ともに術前に比べRVEDVIの改善を認めたが、両心機能への影響は認めなかった。(結論)人工弁によるPVR後の中期成績は良好である。一方で、valve size/BSA15未満の症例では15以上の症例に比べ人工弁機能不全が早期に来す可能性が示唆された。