[OR22-2] Fontan循環確立後の機能的単心室症に対する人工弁置換術
Keywords:人工弁置換, Fontan循環, 単心室
【背景】Fontan循環確立後の機能的単心室症で、修復困難な弁疾患に対する人工弁置換術の報告例は少なく、その手術成績も不明である。【方法】Fontan循環が確立された機能的単心室症に対する人工弁置換術の成績を明らかにする為に、2004年から2019年までに人工弁置換術を行ったFontan術後患者を対象とし、後方視的研究を行った。【結果】対象は12例。人工弁置換術の手術時年齢は21.6(10.1~37.0)歳。Fontan手術後から人工弁置換術までの期間は12.6(0.2~22.9)年。6例が同一弁に対する形成術、2例がDKS吻合を段階的Fontan手術と同時に施行。強心薬を要する心不全と蛋白漏出性胃腸症を1例ずつ認めた。術前BNPは61(27~1106)pg/ml。術前中心静脈圧、 主心室拡張末期容量、収縮率は各々12(9~23)mmHg、正常値の109(57~75)%、52(30~71)%。弁疾患の内訳は10例弁逆流, 2例弁狭窄。術前NYHA分類はIII度3例, II度5例, I度4例。置換した弁位は7例房室弁位、5例大動脈弁(又は新大動脈弁)位。挙児希望の1例に生体弁を使用し11例は機械弁を使用。同時手術としてFontan変換術3例、大動脈(又は新大動脈)基部置換術2例、今野手術1例、房室弁に対する二弁置換術を1例施行。大動脈遮断(又は心室細動)時間は123(47~256)分。早期死亡は2例(術前から心不全を認めた症例の低心拍出量症候群、呼吸不全)。早期死亡を除いた10例の観察期間は5.9(0.4~15.3)年で、遠隔死は認めず。今野手術後の症例で術4年後に人工弁周囲逆流に対し再今野手術を要した。術前蛋白漏出性胃腸症を認めた症例は、現在も同疾患に対し治療継続中。生存する10例のNYHA分類は II度2例、I度8例と術前より軽快し、直近のBNPは54(24~228)pg/ml。【結論】Fontan手術後の機能的単心室症における修復困難な弁疾患に対し、人工弁置換術は有効であった。更なる手術成績の改善の為に、心機能低下や蛋白漏出性胃腸症等を認める前の早期に手術介入を行う必要があると思われた。