[OR22-3] failing Fontan症例に対するfenestration作成術
Keywords:Fontan, fenestration, failing Fontan
【はじめに】Fontan手術に対するfenestrationはFontan手術後急性期心不全に対する治療としてだけではなく、蛋白漏出性胃腸症(PLE)や鋳型気管支炎(PB)などを発症したいわゆるfailing Fontanに対して症状緩和のオプションとして当院では積極的に導入している。【目的・対象・方法)2013年9月から2020年1月にPLEやPBを発症したfailing Fontan症例に当院で外科的またはカテーテル的にfenestration作成術を行った症例に対して後方視的に検討した。【結果】Fontan手術時に術後急性心不全の予防または治療目的にfenestration作成したものは除き、対象期間内にFontan術後遠隔期のfailing Fontan 治療目的にfenestration作成を行ったのは14例。男女比10:4 ,年齢は2-19歳(中央値7.5歳), 疾患の内訳はHLHS8, SRV2, その他3 ( MS/VSD1, DORV1, Tricuspid Atresia1)。対象症例中PLE単独10例, PB単独1例, PLE+PB3例。Fenestration作成方法は外科的作成8例、カテーテル的作成6例、 カテーテル的作成例は全例ブロッケンブロー針を用いてconduitを穿孔後stent留置、外科的作成例も1例はその後stent留置を行っている。留置した全7例のstentはExpress SD 5x19mm 5例、Express SD 6x18mm 1例、Express LD7x27mm 1例。Fenestration作成前→後での変化は平均値でCVP15→14(mmHg), SaO2 93→91(%)であった。臨床経過は全14例中4例寛解(うち3例は4年以上の長期寛解)、8例部分寛解、2例再発であり、全例生存している。対象症例中に脳梗塞の既往はみられていないが、同期間内にFontan手術後急性期心不全のためにfenestrationを作成した別の12例中2例に脳梗塞を認めていた。【まとめ】Fontanルート狭窄や房室弁逆流など形態的に介入可能な部分が認められずfailing Fontanに陥った症例に対するfenestration作成術は臨床症状の改善に寄与する可能性があり重要な治療オプションの一つと考えられる