[OR23-2] 川崎病冠動脈病変合併をゼロにするための4段階リスク層別化による治療戦略
Keywords:川崎病, リスク層別化, プロカルシトニン
【目的】川崎病患児を4段階にリスク層別化し、各群で冠動脈瘤合併をゼロにすべく治療戦略を立てることを目的とした検証を行なう。【方法】低リスク(159例);IVIG不応例予測スコア3つとも陰性、中リスク(90例);スコア1or2つで陽性、高リスク(26例);スコア3つとも陽性、超高リスク(28例);スコア3つとも陽性かつ小林スコア7点以上・江上スコア4点以上・治療開始2日後の好中球11000/μL以上と定義し、低リスク患者にはIVIG単独、中リスク以上にはステロイド初期併用療法を、さらに超高リスク患者には2017年7月までは再発熱後に追加治療、同年8月以降は無熱でも積極的に追加治療を行い、それぞれ発症二ヶ月後の冠動脈拡大残存(CAL)を検証した。【結果】低、中、高リスク群でCALはゼロで、中・高リスク群ではIVIG単独投与を行っていた時期に比し有意に減少した。超高リスク群では、再発熱後に追加治療を行った18例のうち2例(11%)でCALを残したのに対し、無熱でも積極的に追加治療を行った10例は現在のところCALはゼロである。また超高リスク群の治療前プロカルシトニン(PCT)値が高リスク群以下全体に比し有意に高値であった。(低リスク;0.55±0.75 ng/ml, 中リスク;1.19±1.11 ng/ml, 高リスク;1.79±0.98 ng/ml, 超高リスク;5.23±2.06 ng/ml, カットオフ値3.42 mg/ml, AUC 0.86)【考察】低リスク群はIVIG単独で、中・高リスク群はステロイド初期併用療法で、超高リスク群はまだ症例の蓄積を要するが、無熱でも積極的に追加治療を行うことで冠動脈後遺症をゼロにできる可能性があることが示唆された。また治療開始前PCT値が超高リスク予測の一助となり得る。