[OR23-3] 長野県巨大冠動脈瘤ゼロプロジェクト(NCALZERO)-県内統一治療プロトコールについて
Keywords:川崎病, 巨大冠動脈瘤, 急性期治療
【背景】診断率および急性期治療法の改善により巨大冠動脈瘤合併例は減少したが、第25回の川崎病全国調査において患者数は過去最高を記録し、巨大冠動脈瘤は36人(0.11%)に認めた。長野県においても過去10年間で5例の巨大冠動脈瘤が発症し、急性心筋梗塞や瘤内血栓などの合併症を発症している。【目的】2019年4月から今後5年間に長野県内で治療された川崎病患者の巨大冠動脈瘤発症をゼロにするため、県内の関連医療機関において統一の治療プロトコール(長野県巨大冠動脈瘤ゼロプロジェクト;NCALZERO)を実施し、その有効性を検討すること。【方法】県内の川崎病冠動脈病変の合併を当院で把握すること、全ての治療過程においてステロイドは併用しないこと、難治例は10病日までに血漿交換(PEx)を行うことをコンセプトとした。治療は1st Lineおよび2nd Lineは静注用免疫グロブリン(IVIG)単回投与(2g/kg)とアスピリン(ASA)内服を行う。3rd Lineはインフリキシマブ(IFX) 5mg/kgを第一選択とするが、IFX適応外症例はシクロスポリン(CyA)内服または静注を行い、冠動脈瘤を有する症例はPExを選択する。 IFX適応症例は3rd Lineまで、IFX適応外症例は2nd Lineまでを各施設で行い治療無効の場合は当院へ転院し追加治療を行う。ただし、経過中に冠動脈瘤を合併した症例については当院と相談して治療方針を決定する。追加治療は症例の状態に応じてCyA投与、PEx、IVIG追加投与を行う。PExはIFX不応、CyA不応、冠動脈瘤合併のいずれかに該当する症例に対して当院で実施する。【結果】NCALZERO開始後1年経過し、当院で追加治療を要した患者は5症例である。血漿交換2例、CyA投与3例でいずれも冠動脈合併症は認めていない。関連施設から冠動脈拡張症例3例が紹介されたがいずれも1年以内に退縮し巨大冠動脈瘤の合併例は認めていない。【結語】良好な成績であり、引き続き各関連施設と協力しながらNCALZEROを継続する方針である。