[OR24-2] 川崎病診断基準改訂の診断への影響についての検討
キーワード:川崎病, ガイドライン, 診断基準
【背景・方法】川崎病診断の手引きが2019年5月に17年ぶりに第6版に改訂された。主な改訂点は、主要症状で発熱の期間の撤廃、BCG接種痕の発赤を発疹ありとする、冠動脈病変として、冠動脈内径のZスコア2.5以上を異常とする点である。これらの変更は、診断、治療に影響を及ぼすことが予想される。2009年1月~2018年12月に当院で急性期治療を行った川崎病症例を用いて、新基準を適応した場合の診断、治療への影響に関してシミュレーションを行った。具体的には、新基準を当てはめた場合の、不全型から確実例への変更症例、診断病日が変更となる症例の有無を検討した。【結果】川崎病症例355例(男211:女144)の内、旧基準での定義で、確実例309例(87.0%)、不全型46例(13.0%)であった。冠動脈病変は全体で、5例(1.4%)、IVIG未施行症例は11例(3.3%)であった。不全型の内、新基準での主要症状で発熱(日数は問わない)の追加該当症例が7例あり、そのうち4例が確実例に変更となった。新基準での発疹(BCG接種痕の発赤を含む)として追加該当症例が5例あり、4例で確実例に変更となった。新基準で治療開始前の冠動脈エコーで、冠動脈病変あり(内径 Z スコア+2.5以上)に追加該当症例が6例あり、内5例が確実例となった。重複を考慮し、最終的に新基準では不全型が46例から34例に減少し、確実例が309例から321例に12例増加した。また、診断病日が早まり、治療開始が早まる症例を2例認めた。【結語】今回のシミュレーションで、新基準では不全型から確実例に変更となる症例、診断病日が早まる症例が一定数存在することがわかった。診断基準改訂は、早期診断・治療に寄与することが期待される。