The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(I)26(OR26)
外科治療1

指定討論者:白石 修一(新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野)
指定討論者:野村 耕司(埼玉県立小児医療センター 心臓血管外科)

[OR26-5] 遊離自己心膜は成長するか?-肺動脈形成に用いた自己心膜ロールについての検討-

本宮 久之, 山岸 正明, 前田 吉宣, 板谷 慶一, 藤田 周平, 中辻 拡興 (京都府立医科大学 小児医療センター 小児心臓血管外科)

Keywords:自己心膜, MAPCA, UF

【目的】自己心膜は肺動脈修復材料として本邦で広く使用されている。しかし、遊離自己心膜ロールが成長能を有するかどうかについての文献は見当たらない。我々は中心肺動脈(cPA)高度低形成のPA/VSD/MAPCAに対し、自己心膜ロール(PR)によるcPA再建とePTFE弁付き導管(PVC)による右室-肺動脈再建(RVOTR)を行っている。今回、遠隔期PVC再手術を要した症例においてPRの成長の有無につき検討した。
【対象】2001年以降、PA/VSD/MAPCAに対しPRによるcPA再建とPVCによるRVOTRを施行した症例において、体重増加に伴う相対的PVC狭窄にて遠隔期にPVC交換を施行した3例を対象とし、根治術時および再手術時のPR径を比較した。
【結果】症例1:2歳/10.4kgにて根治術、18歳/39.0kgにてPVC交換。根治術時および再手術時の左/右PR径(径比)は15.9/12.0mm(1.33)から21.6/20.0mm(1.08)と径拡大、径比の是正あり。症例2:2歳/8.5kgにて根治術、16歳/44.5kgにてPVC交換。左/右PR径は13.1/9.1mm(1.44)から17.1/19.3mm(0.89)と径拡大、径比の是正あり。症例3:5歳/15.6kgにて根治術、14歳/44.4kgにてPVC交換。左/右PR径は12.2/15.9mm(0.77)から21.4/21.3mm(1.00)と径拡大、径比の是正あり。全ての症例において遠隔期に左右径差は是正されていた。再手術時に一部採取したPRの組織学的検討(症例1, 2 )において、PRは主に膠原線維と弾性繊維から構成されており、繊維芽細胞も存在することが確認された。
【考案/結語】本術式において自己心膜は明らかに成長能を有することが示された。短期的には肥厚を認めるといった報告もあり今後更なる検討が必要であるが、外科手術において最も有用な材料であると考える。