The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(I)27(OR27)
外科治療2

指定討論者:小田 晋一郎(九州大学大学院 医学研究循環器外科)
指定討論者:小出 昌秋(聖隷浜松病院 心臓血管外科)

[OR27-2] 予防的DKS術後の大動脈弁逆流・旧肺動脈弁逆流に対する検討

谷口 宏太1,3, 永井 礼子1, 阿部 次郎1, 泉 岳1, 山澤 弘州1, 武田 充人1, 加藤 伸康2 (1.北海道大学病院 小児科, 2.北海道大学病院 循環器外科, 3.KKR札幌医療センター 小児科)

Keywords:DKS, 大動脈弁逆流, 弁置換

【背景】大動脈弁下狭窄(SAS)や球室間孔(BVF)を要する例におけるDKS術の有用性は既に知られる。当院では血栓発生のリスクを軽減する目的で適応を広げDKS手術を施行してきたが、この度術後に旧肺動脈弁逆流に対する弁置換(PVR)を要する症例を経験した。【目的】DKS術後の大動脈弁逆流(AR)・旧肺動脈弁逆流(PR)の程度、そのリスク因子について検討する。【方法】対象は2009年から2019年までに当院でDKS術を施行した連続37例。AR/PRの程度、大血管位置関係、弁輪径、DKS術式、手術時期、先行術式について検討した。【結果】DKS術時年齢は0.4(0.0-23.9)歳、DKS術後観察期間は4.7(0.3-10.2)年。CoA/AS/SAS/BVFのいずれも認めないものが11例、肺動脈弁輪径80%N以下の例が7例。DKSのタイミングはArch repairの際が6例、BDG術時が21例、Fontan型術時が6例、Fontan型術後が1例、Yasui型が4例であった。肺動脈絞扼術(PAB)の先行が30例(うち両側PAB 5例)、術式はdouble barrel 15例、end to side 21例、不明 1例。合併症は冠動脈トラブルによる術後早期死亡と慢性心不全症例が各1例。術後PRはtrivial/mild 26例、moderate 2例(症例1, 2)、術後ARはtrivial/mild 12例、moderate 1例(症例3)。術前よりtrivial/mild PRを認めた12例のうち術後に増悪を認めたものは症例1, 2の2例であった。症例1はunbalanced AVSD(small LV), bicuspid P valve(BPV)で、弁輪径は正常であったがdomingが強くmild PRを認めていた。Glenn術時に施行したDKS後にPRが増悪し、PVRを施行した。現在2.5歳でTCPC待機中である。症例2はTA(IIc) CoAの新生児期DKS例、症例3はTGA3型 TCPC術後SAS症例で、PR/ARについては経過観察中である。【結論】今回のmoderate以上のAR/PRについての検討では、統計学的に有意なリスク因子はなかった。術前のtrivial/mild PRのみでDKSを回避する必要はないが、BPVのような異形成例では、適応を慎重に判断する必要があると考える。