The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(I)28(OR28)
外科治療3

指定討論者:小沼 武司(三重大学医学部大学院医学系研究科 胸部心臓血管外科)
指定討論者:櫻井 一(中京病院 心臓血管外科)

[OR28-1] ファロー四徴症に対するDelamination Techniqueを用いた肺動脈弁温存手術の検討

樽井 俊, 宮原 義典, 長岡 孝太, 山口 英貴, 清水 武, 大山 伸雄, 柿本 久子, 籏 義仁, 藤井 隆成, 石野 幸三, 富田 英 (昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター)

Keywords:ファロー四徴症, Delamination法, 右室流出路再建

【背景】近年、ファロー四徴症術後遠隔期に肺動脈弁置換術が必要になる症例の増加に伴い、肺動脈弁輪温存手術が推奨されているが、狭小弁輪例においては施行困難である。【目的】弁輪温存が困難な症例に対して、trans-annular patch法に新たな肺動脈弁形成法であるdelamination法を併用した右室流出路再建術を施行したTOF 6症例を経験した。【手術方法】経右房的にVSD閉鎖後、主肺動脈を縦切開して肺動脈弁の交連切開を右室流出路まで延長し、弁尖のhingeから心筋内に切り込んで心内膜を剥離 (delaminate) した。弁尖を基部方向に拡張することで弁尖は拡大され、弁輪は尾側に移動した。右室流出路前面は自己心膜でpatch形成 (trans-annular patch) を行った。【症例・結果】男児5例、女児1例で手術時月齢は17.7±10.6ヶ月、体重9.0±2.0 kg、術前UCGでの肺動脈弁輪径は68.7±11.8% of normalであった。上記手術施行後、退院時のUCGでは肺動脈弁輪は93.5±8.8 % of normalへ有意に拡大し、肺動脈弁の圧格差は21.1±5.4 mmHg、肺動脈弁逆流は全例mild以下であった。全例で術後18.5±10.7ヶ月後に心臓カテーテル検査を施行し、肺動脈弁輪径は97.5±10.1% of normalと維持されていた。肺動脈弁の圧格差は12.3±12.3 mmHg、肺動脈弁逆流は1例のmoderate (術前の肺動脈弁弁輪径が56% of normalと最小であった症例)を除いた全例でmild以下であった。【結語】弁輪径60-80% of normal程度の狭小肺動脈弁輪例に対し、delamination techniqueを用いた自己肺動脈弁温存手術を施行し良好な結果を得た。