第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

一般心臓病学

デジタルオーラル(II)01(P01)
一般心臓病学1

指定討論者:桑原 直樹(岐阜県総合医療センター 小児循環器内科)

[P01-4] 出生後に左動脈管の自然退縮を伴った重複大動脈弓の新生児例

桝野 浩彰, 提島 丈雄, 阿久澤 大智, 沼田 寛, 吉田 真衣, 吉村 元文, 荒井 篤, 加藤 健太郎, 渡辺 健 (北野病院)

キーワード:重複大動脈弓, 右側大動脈弓, 血管輪

【諸言】重複大動脈弓は左第4鰓弓動脈と背側動脈第8分節の遺残により左右大動脈弓が残存し、これにより気管・食道を囲む血管輪が形成され圧迫症状が出現する。今回、出生後に左側動脈弓、左動脈管の自然退縮を伴った重複大動脈弓の新生児例を経験した。【症例・考察】母:32歳7経妊0経産。近医で妊娠21週に施行したスクリーニングの胎児エコーで3VV、3VTVの位置関係に異常が疑われ重複大動脈弓を指摘され当院へ紹介となった。腹痛増強があり妊娠36週より産婦人科管理となり、妊娠38週1日に選択的帝王切開に至った。日齢0男児。Apgar score 9/10 。出生後すぐに啼泣あり、筋緊張は良好で、喘鳴はなかった。精査・管理目的にNICUに入院とした。入室後の心エコーでは、右側大動脈弓:isthmus d=3.22mm(sagittal) 2.8mm(axis)、左側大動脈弓:isthmus(第1分枝後) d=1.67mm(sagittal) 1.87mm(axis)、上行大動脈:7.22mm 分枝左:3.83mm、分枝右:5.38mm、いずれも大動脈弓から総頚動脈、鎖骨下動脈に分枝を認めた。同日夜の心エコーでは、左動脈管・左側大動脈弓の閉鎖傾向を認めた。造影CT:下行大動脈は椎体右腹側を走行し、右大動脈弓と考えられた。大動脈弓部から左側に突出する部分を認め、この先端より動脈が分岐し、この突出部分と大動脈弓部近位の連続性の確認ができなかった。これは重複大動脈弓の左側大動脈弓が動脈管狭小化に伴い閉鎖した可能性が考えられた。呼吸器症状や嚥下障害はなく経過認め日齢7で退院となった。【結語】重複大動脈弓では一般的に自然退縮しないことが多いが、出生後に左動脈管・左側大動脈弓の自然閉鎖を認めた重複大動脈弓の新生児例を経験した。