[P03-1] 乳児血管腫に対するプロプラノロール療法の心機能への影響
Keywords:乳児血管腫, プロプラノロール, 心機能
【背景・目的】乳児血管腫の治療薬としてβ遮断薬プロプラノロール(商品名ヘマンジオルシロップ)が保険適応となった。通常、降圧薬・抗不整脈薬として用いられる本剤が、健常乳幼児の心機能にどのような影響を及ぼすか不明である。今回、我々は心疾患を持たない乳児に対する本剤の心機能への影響を検討した。【対象・方法】対象は2017年11月から2019年12月に当院でヘマンジオルシロップを新規に投与された心疾患のない37例(日齢19-月齢15、中央値月齢3、男児17例、女児20例)。治療導入は入院で行い、1mg/kg/日で開始、5日目までに3mg/kg/日に漸増した。心臓超音波検査を入院時(治療前)、治療6日目、治療1か月で施行し、左室拡張末期径(LVDd)、左室内径短縮率(LVFS)、左室拡張能としてE/E’、更に心係数(CI)を評価し、また入院時・治療7日目・治療1か月のヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を測定した。また治療開始5-6日目にホルター心電図で心拍を評価した。【結果】LVDd、LVFS、CIは治療前と6日目および1か月で有意な変化を認めなかった。E/E’は1か月で治療前より低下していた。BNPは7日目で治療前より有意に上昇したが、1か月では有意差が消失した。心拍については3例でホルター心電図にてRR間隔が2秒を超えるpauseを認めた。いずれも後日施行した再検ではpauseを認めなかった。【結語】BNPは軽度上昇するが、検討した心機能指標に問題となる動きはなく、本剤は比較的安全に使用可能と思われる。但し、導入早期に徐脈を示す症例があり、注意が必要である。