[P06-1] 当院における18トリソミーに対する心臓手術介入の現状
Keywords:18 trisomy, surgery, QOL
【背景】18トリソミーはその80-90%に先天性心疾患(Congenital Heart Disease: CHD)を合併するものの、生命予後・心外合併症の観点から、心疾患に対する治療介入をどこまで行うべきか否かついては議論の余地がある。現在我々の施設では、在宅医療への移行を目的とした心臓手術介入も、一つの選択肢として否定はしていない。【目的】18トリソミーに対する心臓手術介入症例の背景・治療経過を検討する。【方法】CHDを有する18トリソミーに対し、2013年4月~2020年2月に当院で心臓手術介入を行った連続12例を対象とした。患者背景、手術方法、周術期合併症、心不全改善、在宅移行などについて診療録に基づき後方視的に検討した。更に、同時期にCHDを有しながら心臓手術介入を選択されなかった4例についても追加検討を行った。【結果】手術時の患者背景は、男女比3:10、月齢0.9ヶ月(日齢14-月齢3)、体重1.57±0.24kgであった。食道気管瘻2例を含む消化器合併症は3例(25%)、術前人工呼吸器管理は7例(58%)で、術前挿管期間は17日であった。手術は、肺動脈絞扼術(PAB)+動脈管結紮術5例、PAB単独3例、動脈管結紮術単独2例、PAB+ペースメーカー埋め込み術1例、両側肺動脈絞扼術1例であった。周術期90日死亡は不整脈による1例で、在院死亡はCLD増悪による1例(術後197日目)であった。BNP値は、術前後で1445±449⇒196±70(pg/mL)へと改善をみとめた。紹介病院へ術後早期に帰院した2例を含め9例(75%)で在宅移行可能で、移行時の気管切開はなく、退院後死亡は誤嚥性肺炎2例(16%)であった。手術非介入4例のうち、在院死亡は1例(25%)・退院後死亡は2例(50%)であった。【結語】18トリソミーに対する心臓手術介入は、心不全改善や在宅移行率の向上を示唆されるが、個々の状況に合わせた治療選択と再入院時フォローも含めた院内・院外の医療連携が必須となる。