The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

染色体異常・遺伝子異常

デジタルオーラル(II)06(P06)
染色体異常・遺伝子異常1

指定討論者:白石 公(国立循環器病研究センター)

[P06-3] 先天性心疾患を合併したモザイク型18トリソミーの治療経験

山形 知慧, 佐藤 麻朝, 永峯 宏樹, 小山 裕太郎, 森川 哲行, 宮田 功一, 大木 寛生, 前田 潤, 三浦 大 (東京都立小児総合医療センター 循環器科)

Keywords:18トリソミー, モザイク型, 先天性心疾患

【はじめに】18トリソミーは先天性心疾患の合併頻度が高い染色体異常症の一つである。モザイク型18トリソミーの臨床像は、フルトリソミーに近い予後不良からほぼ正常に近い自然歴まで多様で、モザイク率と表現型の相関が明らかでない場合もある。従来、18トリソミーに合併する先天性心疾患に対する心臓手術は生命予後を改善しないという考えから避けられていたが、近年術後の生存率の延長を認めた報告が集積され、手術適応は個々に検討されるようになっている。今回は臨床経過から予後良好と考え、心内修復術の適応と判断したモザイク型トリソミー18の1例を経験した。【症例】母は44歳、0経妊0経産で、胎児期に子宮内発育遅延、心室中隔欠損症、小脳低形成から18トリソミーが疑われたが、染色体検査は行われなかった。40週4日 2288g(-2.5SD) 女児 帝王切開で出生し当院NICUに入院した。低位鎖肛とperianal grooveを認めたが、18トリソミーに特徴的な外表奇形はなく、心臓超音波検査で膜様部心室中隔欠損症(径6mm)、動脈管開存(径5mm)を認めた。18番染色体特異的FISHを行い、末梢血ではモザイク率90%、頬粘膜ではモザイク率約21%のモザイク型18トリソミーと診断された。呼吸、経口摂取は確立しており、心外表現型が軽度であることから、心臓手術を差し控える対象ではないと考え、日齢50に肺動脈絞扼術、動脈管結紮術を行い、退院した。体重増加は得られており、5カ月時の心臓カテーテル検査では肺高血圧なく、待機的な心内修復術の適応と診断した。【結論】モザイク型18トリソミーにおいて、モザイク率は組織により異なり、生命予後と相関しない可能性がある。心臓手術の適応は、個々の症例の心外表現型を考慮して決定する必要がある。