The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

染色体異常・遺伝子異常

デジタルオーラル(II)08(P08)
染色体異常・遺伝子異常3

指定討論者:前野 泰樹(聖マリア病院)

[P08-2] 経皮的肺動脈弁拡大術後に肺出血で失ったファロー四徴症・重度肺動脈低形成・アラジール症候群の剖検所見

赤木 健太郎, 馬場 志郎, 吉永 大介, 武野 亨, 松田 浩一, 平田 拓也, 滝田 順子 (京都大学医学部附属病院 小児科)

Keywords:アラジール症候群, ファロー四徴症, PTPV

アラジール症候群は両側肺動脈狭窄を高頻度に合併する胆汁鬱滞型肝疾患で、肺動脈の発育が悪く新生児早期から治療介入が必要な症例が存在する。今回 ファロー四徴症、肺動脈弁狭窄、肺動脈低形成、低出生体重児に対して肺動脈発育のために経皮的肺動脈弁バルーン拡大術(PTPV)を繰り返したが肺出血によって失った症例を経験した。今回得られた貴重な剖検所見も含めて提示する。 症例は1ヶ月半 男児、双胎第2子。在胎中から双胎ともファロー四徴症と診断。陣発のため在胎37週1日、緊急帝王切開で出生。Apgar Score 6/7点、出生時体重 2216gであった。出生後から著明な全身チアノーゼを認め、酸素投与後もSpO2 50%台であった。ファロー四徴症、肺動脈弁狭窄重度、重度肺動脈低形成、卵円孔開存、動脈管閉鎖と診断し、挿管・集中管理を行った。SpO2は進行性に低下したため日齢0に緊急でPTPVを施行した。肺動脈弁3.2mmに対してRaiden 4.5mm×1.5cm, 3atmを使用し、SpO2 35%から81%まで上昇した。体重増加とともに呼吸困難とSpO2低下が悪化し、生後1ヶ月、生後1ヶ月半時にTMP-Ped 6mm×2cmを用いて2、3回目のPTPVを施行した。3回目のPTPV前から極軽度の肺出血を認めていたが、PTPV後に出血量が増加、重度の換気不全となり永眠された。なお直接ビリルビン優位の進行性黄疸、胆道シンチや病理所見、遺伝子検査(JAG1遺伝子変異)から後にアラジール症候群と診断された。 肝疾患合併先天性心疾患において採血上の凝固能検査が正常値であっても脳出血や肺出血の出血イベントが多いことを経験する。肺病理所見上も肺血流増加が契機になった肺出血に矛盾しない所見であり、同様症例に対するカテーテル治療は注意が必要であると考えられた。