The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

胎児心臓病学

デジタルオーラル(II)09(P09)
胎児心臓病学1

指定討論者:桑原 尚志(岐阜県総合医療センター 小児医療センター)

[P09-3] 生後早期に外科的介入を行った先天性心疾患胎児診断症例の検討

亀井 直哉, 佐藤 有美, 三木 康暢, 松岡 道生, 小川 禎治, 富永 健太, 田中 敏克, 城戸 佐知子 (兵庫県立こども病院 循環器内科)

Keywords:胎児診断, 重症度予測, 外科的介入

背景先天性心疾患の胎児診断率の向上に伴い、多くの症例が生直後より計画的に治療を行うことが可能になったが、重症度の予測が難しいケースもある。目的胎児診断症例の中から、生後早期に外科的介入を行った症例を抽出し、その臨床像を検討して今後の管理の一助とすること。対象と方法2013年から2019年に胎児診断され当院で分娩管理された428例のうち、生後12時間以内に外科的介入を行った8例について、診療録を用いて後方視的に検討した。結果8例の出生週数は33週―40週(中央値36週)で、疾患内訳は肺動脈弁欠損2例、エプスタイン病2例、右側相同心2例、高度徐脈合併の左側相同心1例、構造異常のない先天性完全房室ブロック1例で、3例が胎児水腫を呈していた。このうち出生前から生直後の外科的介入を計画した症例は、エプスタイン病2例、右側相同心1例であった。エプスタイン病2例はいずれも胎児期からcircular shuntを呈しており33週に予定帝王切開で出生、直後に主肺動脈結紮と右房縫縮、両側肺動脈絞扼術を行った。右側相同心の1例は高度の肺静脈狭窄を認めた例で、出生直前のエコーでそれまで観察されていた狭窄部の血流が確認されなくなっていた。肺動脈欠損2例のうち1例は両心室機能低下に伴う胎児水腫増悪のため34週で出生、主肺動脈絞扼術ののちECMO管理を1週間行って根治術を施行した。もう1例は出生後の換気は維持できたが、肺血流不足による低酸素血症が進行したため、生後5時間で姑息的右室流出路再建と肺動脈縫縮術を行った。右側相同心のもう1例は、胎児期の肺静脈血流パターンから、直後の介入の必要性は低いと考えていたが、生後高度の肺静脈狭窄による低酸素血症の進行を認め、生後5時間で手術となった。結語生後早期に介入を要する心疾患は、胎児心不全例が多い。また肺循環異常を伴う症例の緊急度予測には注意が必要。