[P09-5] 胎児診断された単独の総肺静脈還流異常(TAPVC)の検討
Keywords:TAPVC, 胎児診断, 検査技師
目的:単独のTAPVCの胎児診断の現状を分析、今後の胎児診断向上につながるヒントを見つける。対象方法:胎児診断された単独のTAPVC18例、胎児診断率の推移、診断週数、病型分類、肺静脈狭窄、手術時期、予後、紹介元を後方視的に検討。結果:1) 胎児診断率1993-2008年2%、2009-2013 年43%、2014-2019 年 55%。2) 診断週数19-36週、平均27週。2013年以前以後で変化なし3)病型分類、3型33%,1a型28%,1b型28%,混合型11%4)肺静脈狭窄軽度、中等度、高度17%,22% 61%5)当院手術14例中9例(61%)は24時間以内。うち3例は、帝王切開直後5)1例が術直後4例が術後遠隔期に再狭窄で死亡,最終的生存率64%6)心臓と無関係な紹介5例(28%)、心臓疾患疑2例(11%)、TAPVC疑11例(61%)7)TAPVC疑の82%は検査技師。考察:胎児診断率は経年的に向上し、最近の5年間では半数以上が胎児診断されており、胎児診断率の向上は明らかに認められた。3型が最も多くを占め、実際の頻度よりも多くを占めていた。腹部断面で垂直腸脈が確認しやすいという3型の特徴による可能性が考えられた。中等度または高度肺静脈狭窄合併例が83%を占めていた。これらの症例では末梢肺静脈のドプラ波形が1峰性または平坦などの特徴的な所見を呈することから、末梢肺静脈のドプラ波形によるスクリーニングが有効であることが示唆された。紹介元からの紹介理由のうち61%がTAPVCを疑われていた。うち9例(82%)は検査技師による胎児スクリーニングが行われている施設からの紹介であった。結語:TAPVCの胎児診断率は近年急激に上昇。垂直静脈の有無、末梢肺静脈血流波形は胎児スクリーニングに有効。検査技師による胎児スクリーニングは有効。