[P10-4] 機能的肺動脈閉鎖を伴う新生児Ebstein病4例の検討
Keywords:胎児, Ebstein, エプスタイン
【背景】 新生児期に発症するEbstein病は、重症心不全を呈する予後不良な疾患であるが、機能的肺動脈閉鎖(fPA)を伴う場合、その経過は多様である。今回、2018年4月~2019年 5 月に当院で、fPAを伴う新生児Ebstein病4例の臨床像について後方視的に検討した。【経過】<症例1>5か月女児。38週1日、2590gで出生。lipo-PGE1投与開始。高度三尖弁逆流(TR)あり。生後2か月時に肺動脈弁膜様閉鎖と修正診断。経皮的肺動脈弁形成術により肺動脈への順行性血流出現し、Cone手術待機中。<症例2>5か月女児。38週3日、2380gで出生。中等度のTR、肺動脈弁逆流(PR)あり。Lipo-PGE1投与で高肺血流による心不全となり、日齢14に投与中止。動脈管閉鎖に伴い肺動脈への順行性血流出現し、Cone手術待機中。<症例3>男児。胎児水腫のため、33週5日、2330g、緊急帝王切開で出生。著明なチアノーゼ、高度TR、PRあり。lipo-PGE1及びNO投与で高肺血流による心不全となり、日齢4に投与中止。日齢5に動脈管結紮術を行い、肺動脈からの順行性血流が出現。心不全持続し、日齢14に肺動脈絞扼術とBTシャント術、日齢17にStarnes手術を行ったが、菌血症、capillary leak持続により生後2か月時に死亡。<症例4>3か月男児。41週3日、3304gにて出生。高度TR、軽度PRあり。lipo-PGE1投与で高肺血流による心不全となり、日齢1に投与中止したが、心不全が持続。他院に転院、日齢7にCone手術が行われ、日齢29に退院。【考察】fPAを伴う新生児Ebstein病では、肺血流維持のためのPGE1投与により心不全悪化のリスクがあり、PGE1の適応、早期の動脈管または肺動脈の結紮術の検討など、個々の経過に応じた迅速な判断が必要であると考えられた。