The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

複雑心奇形

デジタルオーラル(II)11(P11)
複雑心奇形1

指定討論者:大月 審一(岡山大学病院 小児循環器科)

[P11-3] 純型肺動脈閉鎖症の中長期予後

桑原 直樹1, 寺澤 厚志1, 山本 哲也1, 田中 秀門1, 林 大地1, 後藤 浩子1, 桑原 尚志1, 川口 祐太朗2, 渕上 泰2, 岩田 祐輔2 (1.岐阜県総合医療センター 小児医療センター 小児循環器内科, 2.岐阜県総合医療センター 小児医療センター 小児心臓外科)

Keywords:純型肺動脈弁閉鎖症, 経皮的肺動脈弁形成術, 類洞交通

【背景】純型肺動脈弁閉鎖症(PA/IVS)は、新生児期より経皮的肺動脈弁形成術(PTPV)や体肺シャント術を必要とし、2心室循環やFontan循環を目指す疾患だが、類洞交通など突然死の原因となる合併症も知られており、その中長期予後は明らかではない。【目的および方法】1997年以降当院で加療したPA/IVS患者32例(平均観察期間9.4±9.4年、0-38.2歳)について、死因、類洞交通の有無、必要とした外科およびカテーテル治療について検討した。また2心室循環到達群(B群)およびFontan循環(1.5心室修復を含む)到達群(S群)について現在の体静脈圧(CVP)、NYHA、チアノーゼの有無、HANP、投薬について比較検討した。【結果】32例中7例にmajorな類洞交通を認めた。新生児期にPTPVを施行した症例は11例、PTPV無効例を含め体肺短絡術施行例は20例だった。死亡は6例(18.8%、0-1.1歳)で突然死3例、手術関連死3例(シャント術後2例、BDG術後1例)だった。死亡例のうち3例は類洞交通を伴い、超未熟児1例、臍帯ヘルニア術後1例だった。B群は11例、S群は12例(待機3例を除く)で、外科手術をB群0.7±0.9回、S群3.1±0.5回(p<0.05)施行、カテーテル治療をB群2.0±1.0回、S群1.5±0.7回施行していた。CVPはB群5.3±2.0mmHg、S群10.5±2.2mmHg (p<0.05)、NYHAはB群の1例でII度(38.2歳)以外全例I度だった。チアノーゼはB群1例(ASD右左短絡)、S群1例(Fenest Fontan)に認めた。HANPはB群76.6±67.1 pg/ml、S群23.6±67.1 pg/ml (p<0.05)だった。S群は全例投薬を受けていたがB群では投薬なしが7例(63.6%)だった。【考察】PA/IVSでは類洞交通や合併疾患などで乳児期早期の死亡率が高いが、これを乗り越えれば中長期の生命予後は良好で、QOLも保たれていた。2心室循環到達群はFontan循環群に比べ少ない外科介入回数でCVPも低く保たれ投薬のない症例も多かった。遠隔期については引き続き経過観察が必要である。