[P11-4] 当院の総肺静脈還流異常症の術後死亡因子の検討
Keywords:TAPVC, PVO, 予後不良因子
【はじめに】総肺静脈還流異常症(TAPVC)は合併する様々な病態があり,現在も治療成績は満足できるものではない.当院のTAPVC症例について術後死亡の因子を検討した.【対象と方法】1997年5月から2018年12月までに当院で手術治療を行ったTAPVC 67例を診療録から後方視的に検討した.【結果】男:女 40:27,出生体重 2840g(1548-3520),胎児診断 11例,院内出生 17例,TAPVC病型はsupracardiac 30例,cardiac 8例,infracardiac 20例,mixed 9例,心室形態はbiventricle anatomy 46例,univentricle anatomy 21例で全例heterotaxyであった.術前肺静脈狭窄(PVO)は35例,術前の人工換気は12例,ECMO装着は2例,intervention(stent留置)介入は3例に行った.修復術前の手術介入は10例に行い,BT shunt 6例,PA banding(PAB) 2例,bilateral PAB 1例,Norwood 1例であった.TAPVCに対する修復術は64例に行い,手術時の日齢は36日(0-338),体重は <2000g 5例,2000-2500g 9例,>2500g 50例,TAPVC術式はconventional repair 56例,sutureless repair 8例,人工心肺時間 133±43min,大動脈遮断時間 60±22min,TAPVC手術例の在院期間は40(11-253)日であった.術後PVO再手術は14例に行い,狭窄部位は共通肺静脈腔-左房吻合部 6例,左肺静脈 6例,右肺静脈 2例であった.全症例のhospital mortalityは13例(19%)であった.Cox比例ハザードモデルから生存分析を行い,体重 <2000g(p=0.0064,HR 11.03),術前PVO(p=0.0054,HR 3.99),Heterotaxy(p=0.0032,HR 3.22),術後PVO(p=0.026,HR 2.20)の4項目が術後死亡と有意な相関を認めた.【まとめ】低出生体重,univentricle anatomyのheterotaxy,術前からのPVO合併例はTAPVC症例の術後死亡の因子となっている.