[P12-2] MAPCAを合併した肺動脈閉鎖、単心室修復症例の治療成績
キーワード:単心室, MAPCA, 肺動脈閉鎖
【背景】主要肺動脈体動脈側副血行(MAPCA)を有する単心室(SV、機能的単心室含む)、肺動脈閉鎖(PA)の治療は難渋することも多く、またその治療成績は明らかにされていない。【目的】当院ではMAPCA、SV、PAの症例には積極的に体肺シャントなどでcentralPA(cPA)を育てつつ、可能な範囲でUnifocalization(UF)を行い、経皮的肺動脈形成術なども併用しながらFontan手術を目指す方針としている。当院での治療成績を明らかにする。【対象と方法】対象は2001年から2019年までに当院にて治療を行った、MAPCA、SV、PAの患者。診療録をもとに、診断時のMAPCAの本数、cPAの太さ、UFを行った年齢および、統合肺区域、Glenn手術およびFontan手術到達時の年齢、PAindex、肺動脈圧などを後方視的に検討した。【結果】症例は6例(右心単心室4例、AVSD1例、DORV1例)。診断時の体重は平均3.1kgでcPAの径は平均2.2mmであった。初回手術は体肺シャント術(BTシャントまたはcentralシャント手術)のみが3例で、体肺シャント術とUFを施行したのは2例であった。Glenn手術到達は2例で平均年齢1.2歳、術前検査ではQp/Qs0.68、PAindex210mm2/m2、PVRi2.9U・m2、平均肺動脈圧13mmHgで、統合肺区域は平均16区域であった。Fontan手術到達は1例で年齢1歳7か月、術前検査ではQp/Qs0.81、PAindex217 mm2/m2、PVRi1.4U・m2、統合肺区域は19区域だった。この症例のGlenn手術直前検査ではQp/Qs0.81であった。経過中の全死亡数は2例で、そのうち心血管疾患に関連したものは1例であった。【考察】MAPCA、SV、PAではFontan手術到達例は少なく、成績は不良であった。Fontan症例ではGlenn症例に比較して統合肺区域数が多く、術前検査でのQp/Qsが高く、PVRiが低かった。Fontan到達にはより大きな肺血管床を得るために、より多くの肺区域のUF手術の他、体肺シャントなどによる多くの肺血流の確保が重要と考えられた。