第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

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デジタルオーラル

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デジタルオーラル(II)14(P14)
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指定討論者:早渕 康信(徳島大学病院 小児科)

[P14-4] 胸郭変形/側弯症患者における腹臥位が血行動態に与える影響

高橋 辰徳, 安孫子 雅之, 松木 惇, 粟野 裕貴 (山形大学 医学部 小児科)

キーワード:腹臥位, 胸郭変形, MRI

【背景】我々は以前、側弯症手術の際に急性右心不全により死亡した症例を経験した。CTで肺塞栓は否定的であった。胸郭変形のため、MPAが胸骨から胸椎に向かってまっすぐ伸びており、腹臥位により分岐部が前後に圧排されて生じた循環不全が原因と推測された。しかし、胸郭変形/側弯症患者において、腹臥位が循環動態に与える影響は明らかになっていない。【目的】胸郭変形や側弯症患者の循環動態に対する腹臥位の影響を、心臓MRIを用いて調査する。【症例1】29歳女性、{I,D,X}, mesocardia, ccTGA, DORV, PA, small LV, p-central shunt。側弯症あり。心臓MRIの結果を仰臥位→腹臥位の順に記載。RVEDVi 145.2→181.4mL/m2, RVEF 41→39%, TRRF 15→31%, RAi 54.5→96.3mL/m2。椎体の圧排による心臓変形によりTRが増悪し、RV, RAが拡大したと考えられた。【症例2】27歳女性、Marfan症候群、心内奇形なし。側弯症、漏斗胸あり。IVC flow 42.3→13.6mL/beat, LVEDVi 73.4→45.7mL/m2, RVEDVi 91.8→62.1mL/m2, RV左右径 73→90mm, CI 2.1→1.4L/min/m2。後方偏位した胸骨と椎体に挟まれてIVC, RVが強く圧排・変形しており、IVC flow減少とRV拡張障害が血行動態へ悪影響を与えたと考えられた。【考察】胸郭変形/側弯症患者は症例により多彩な血行動態の異常が生じうる。特に側弯症手術の際は長時間の腹臥位によりその影響が甚大となる恐れがあるため、腹臥位による心血管圧排が危惧される症例では術前に仰臥位・腹臥位両方のMRIを撮影する必要性があると考えられた。また、漏斗胸合併例では、仰臥位で可能な漏斗胸手術を側弯症手術に先行させるなどの対処が有効かもしれない。【結論】胸郭変形/側弯症患者では、腹臥位により血行動態に大きな変動が生じる症例が存在し、注意を要する。