[P15-2] 造影CTが血管構造の把握に有用であった新生児の3症例
キーワード:造影CT, 血管異常走行, 新生児
[背景]先天性心疾患の多くは経胸壁心臓超音波検査(TTE)で診断可能であるが、血管走行異常は周囲臓器・組織によりTTEでの診断に苦渋する。[症例]症例1:胎児MRIで右肺欠損が疑われていた女児。胎盤早期剥離のため緊急帝王切開となり在胎36週2日、出生体重2714gで出生した。日齢0、TTEで肺動脈分岐と考えられる分岐が描出され、両側の肺動脈ありと判断した。同部位で加速があり両側末梢性肺動脈狭窄症と診断した。日齢8に造影CTを行ったところ、左右肺動脈と考えていた血管はいずれも左肺動脈であることが判明し、右肺動脈欠損症と診断した。症例2:酸素化不良で新生児搬送となった在胎39週6日、出生体重2835gの男児。日齢0、TTEでファロー四徴症、肺動脈閉鎖症、右側大動脈弓、動脈管開存症、主要体肺側副動脈と診断した。動脈管は蛇行しておりTTEでの全貌描出が困難であったが、左右肺動脈の血流は保たれており動脈管により血流を受けていると判断した。日齢4に造影CTを行ったところ、肺動脈閉鎖症、心室中隔欠損症、大動脈肺動脈窓、左肺動脈離断症、動脈管開存症、右側大動脈弓、主要体肺側副動脈と判明した。右肺動脈は大動脈弁バルサルバ洞から、左肺動脈は動脈管からそれぞれ血流を受けていた。症例3:在胎38週3日、出生体重2872gの男児。呼吸障害と新生児遷延性肺高血圧症でNICU管理となった。日齢0、TTEで左右肺動脈分岐部から左肺動脈の起始が描出できず、左肺動脈欠損症、または左肺動脈右肺動脈起始症が疑われた。日齢8に造影CTを行い、左肺動脈右肺動脈起始症と診断した。これらの症例の平均造影剤使用量は1.3mL/kg、造影CT当日の血清クレアチニンは平均0.44mg/dL、平均吸収線量は2.8mGyであった。[考察]TTEによる血管走行異常の診断は術者の技術・知識に依存する点が大きい。一方で造影CTは客観的に血管走行異常を評価することができた。[結語]新生児の血管走行異常の診断には造影CTが有効である。