[P15-4] 一定の心室容積を有したが単心室修復を行った完全型房室中隔欠損症の共通房室弁の形態について
Keywords:完全型房室中隔欠損症, 共通房室弁, 単心室
【背景】完全型房室中隔欠損症(cAVSD)では、両心室のバランスや房室弁の形態で二心室修復を行うか否かが検討されている。【目的】両心室の容積が十分だが、単心室または1+1/2修復としたcAVSDの房室弁の特徴を明らかにする。【対象と方法】2015年1月から2019年12月までに当院で手術を行ったcAVSD の症例から、単心室または1+1/2修復のA群5例と二心室修復のB群5例の房室弁形態を検討した。心室容積はGlenn術前、二心室修復術前のカテーテル検査またはMRI の計測値で、両心室の拡張末期容積(EDV)がともに80%N以上とした。診療録より後方視的に検討し、結果は中央値(範囲)で示した。【結果】合併奇形はA群ではPLSVC3例、severe PS1例、polysplenia 1例、B群ではPLSVC2例、CoA1例、polysplenia1例だった。BDGまたは二心室修復時の年齢はA群3.2(0.7~4.3)歳、B群2.5(1.0~4.5)歳だった。心室EDV(%N)の比(LVEDV/RVEDV)は、A群1.50(1.07~1.91)、B群1.06(0.68~1.56)だった。術前にmoderate以上の房室弁逆流はA群3例、B群2例で見られた。房室弁短軸像での僧帽弁成分と弁全体の面積比によるModified atrioventricular valve indexはA群0.45(0.33~0.73), B群0.48(0.47~0.49)とA群でばらつきが見られた。A群ではLateral mural leafletの低形成が3例(単一乳頭筋1例)、房室弁の片側成分の低形成が2例だった。【結論】心室容積が十分でも単心室修復とした症例は房室弁形態が不良なものが多かった。房室弁成分のバランスとlateral mural leafletの観察が重要と考えられた。