[P18-1] 心エコーの左室径Z scoreを用いた肺体血流比の予測に関する検討
Keywords:Zスコア, 左室容量負荷, 肺体血流比
【背景】左右短絡疾患における左室容量負荷の程度と,経胸壁心臓超音波(TTE)で計測される左室径Z score(LVZ)の関連性について,過去に十分な検討は行われていない.【目的】左右短絡疾患における左室容量負荷とLVZの関連性を明らかにする.【方法】当院および関連施設において,2015年1月から2019年12月の間に術前心臓カテーテル検査(CC)を受けた心室中隔欠損症52名および動脈管開存症23名の合計75名(男35名,女40名,年齢中央値1.9歳)を対象として,診療情報を後方視的に収集した.M-mode法による左室拡張末期径,収縮末期径(LVIDd,LVIDs)のZ score(Zd,Zs),ドプラ法で推定される肺体血流比(eQp/Qs)と,CCで計測された肺体血流比(cQp/Qs)の相関性を統計的に解析した.染色体異常,早産低出生体重児,成長障害(体重<-2SD),中等度以上の弁逆流,他の先天性心疾患合併例は除外した.【結果】Zd,Zs,eQp/QsとcQp/Qs の間には,それぞれ相関が見られた(ピアソンの相関係数 Zd: 0.63,Zs: 0.58,eQp/Qs: 0.62).重症肺高血圧(sevPH; 右室圧/左室圧比≧7割もしくは平均肺動脈圧≧40mmHg)の5例を除外すると,相関傾向は強くなった(Zd: 0.70,Zs: 0.59,eQp/Qs: 0.66).相関の強かったZdを変数として,cQp/Qs≧1.5を予測するROC曲線を作成すると,AUC=0.876,カットオフ値Zd=1.76 (感度68.8%,特異度88.4%)であった.sevPHを除いた症例について重回帰分析を行い,Zdを用いた回帰式よりcQp/Qs予測値を求めると,実際のcQp/Qsと強い相関を示した(相関係数=0.72).【結語】Zdは左室容量負荷を正確に反映しており,高い精度でcQp/Qsを予測することが可能である.