[P19-5] 人工イクラとスライムを用いたエコーガイド下リンパ節穿刺トレーニングキットの開発
Keywords:エコーガイド下リンパ節穿刺, トレーニングキット, リンパ漏出
【背景】乳糜胸,鋳型肺炎,蛋白漏出性胃腸症などリンパ漏出が関連する疾患に対し,リンパ管造影などによる診断やリンパ管塞栓術などの治療の普及が進みつつある。これらの手技のなかでエコーガイド下リンパ節穿刺が必要となるが,実際の臨床においては穿刺機会が少なく,トレーニングは困難である。このため,実際の穿刺に近いトレーニングキットが必要となるが,トレーニングを反復して行うためには安価かつ自作可能であることが望ましい。そのなかで,人工イクラと玩具用スライムとを用い,トレーニングキットを作成することができるのではないかと考えた。【目的】人工イクラと玩具用スライムとを用いて作成したエコーガイド下リンパ節穿刺トレーニングキットが,実際の手技に即しているかどうかを検証すること。【方法】容器のなかに筋を模した粘土を敷き,人工イクラ(アルギン酸ナトリウム水溶液を乳酸カルシウム水溶液に滴下し作成したもの)を入れ,玩具用スライム(ポリビニルアルコール入り洗濯のりと水とを1:1で混合し飽和ホウ砂溶液で皮下組織の硬さに調整したもの)を流し込みトレーニングキットを作成した。アルギン酸ナトリウム水溶液を水のみ,水に少量の植物油を混入し撹拌したものを使用し,エコーで確認することにより,鼠径リンパ節のエコー輝度に近いかどうかの検討を行った。さらに,実際のエコーガイド下リンパ節穿刺に近いものであるかどうかを比較した。【結果】アルギン酸ナトリウム水溶液の水に少量の植物油を混入し撹拌したもののほうが,水のみに比べエコー画像が実際の鼠径リンパ節のエコー輝度に近かった。さらに,穿刺時のリンパ節の硬さと人工イクラの硬さは近いものであった。【まとめ】人工イクラと玩具用スライムとを用いて作成したエコーガイド下リンパ節穿刺トレーニングキットは,安価かつ自作可能であり,さらに実際の手技にも即している。