The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

デジタルオーラル

カテーテル治療

デジタルオーラル(II)21(P21)
カテーテル治療1

指定討論者:赤木 禎治(岡山大学医学部・歯学部附属病院 循環器内科)

[P21-4] 心房中隔欠損症を伴う乳幼児ダウン症におけるASD治療前後の体重変化

井上 忠1, 高瀬 隆太1, 津田 恵太郎1, 清松 光貴1, 前田 靖人1, 鍵山 慶之2, 籠手田 雄介1, 須田 憲治1 (1.久留米大学 医学部 小児科学講座, 2.聖マリア病院 小児循環器科)

Keywords:心房中隔欠損症, ダウン症候群, 経皮的心房中隔欠損閉鎖術

【背景】ダウン症候群は原疾患による哺乳不良などで体重増加不良を呈しやすい。心房中隔欠損症(Atrial Septal Defect: ASD)は乳幼児期に心不全を呈しにくいが、ASDを有するダウン症児の中にASDを治療することで体重増加が得られる症例が一定数存在する。【目的】1. ダウン症候群の患者の体重がASD治療によりどのように変化するか検討する。2. 治療方法により体重増加に違いがあるかを検討する.【方法】対象:当院および聖マリア病院で2010年1月1日から2019年12月31日の間にダウン症候群と診断され、合併心奇形を有さないASDに対して治療を行われた5歳未満の症例。外科治療群と、経皮的心房中隔欠損閉鎖術(Transcatheter closure of atrial septal defect:TC-ASD)群に分け、基本的属性、体重(測定値およびSD)変化、心奇形以外の合併症について後方視的に検討を行なった。【結果】症例は8例で、外科治療群4例(治療時年齢 4か月- 1歳9か月、体重 5.4-9.1kg、体重SD -4.0- -1.7SD、欠損孔/体重 0.8-1.5、Qp/Qs 1.6-2.5)、TC-ASD群4例(治療時年齢 1歳8か月- 4歳5か月、体重 8.1-13.8kg、体重SD -4.0- -1.7SD、-2.8- -1.2SD、欠損孔/体重 0.9-1.2、Qp/Qs 1.7-3.1)。全例で治療前に体重が-2.0SD未満もしくはSD値の経時的な低下を認めたが、治療後は体重増加(SD値上昇)を認めた。術前と比較した体重SD値は治療後1ヶ月(外科群 -0.27SD、TC-ASD群 0.26SD、p<0.05)と有意差あり。3ヶ月(外科群 0.39SD、TC-ASD群 0.53SD、p=0.7)と有意差は消失。全例で手術合併症やTC-ASDにおける合併症はなかった。【結論】乳児期から治療適応を有するダウン症候群患者のASDを閉鎖することにより有意な体重増加が得られる。TC-ASDは乳児期、低体重の症例でも安全に行うことができ、早期から体重増加を得られるため体重増加不良を呈するASD合併ダウン症患者の治療選択肢となり得る。