The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

カテーテル治療

デジタルオーラル(II)24(P24)
カテーテル治療4

指定討論者:藤本 一途(国立循環器病研究センター病院 小児循環器科)

[P24-2] フォンタン型手術前におけるAPCAに対する塞栓術後の炎症反応の推移

新井 修平, 稲田 雅弘, 浅見 雄司, 田中 健佑, 池田 健太郎, 下山 伸哉, 小林 富男 (群馬県立小児医療センター 循環器科)

Keywords:APCA, 塞栓, 炎症反応

【はじめに】単心室修復において、体肺動脈側副動脈(APCA)はフォンタン循環への悪影響を及ぼすため、フォンタン型手術前にAPCAへの塞栓術が行われている。体内異物留置後の炎症反応上昇や発熱はしばしば経験されるが、手術前に炎症反応上昇、発熱を来すことで手術延期を余儀なくされることがある。【目的】当院においてフォンタン型手術前にAPCAに対する塞栓術を施行した際の手術前の炎症反応の推移を明らかにする。【対象と方法】2008年1月から2020年1月までに当院でフォンタン型手術を施行した患者で、APCAに対する塞栓術を施行後、手術前に採血を行った22例を対象とした。患者背景、コイル数、総コイル長、術前後のCRPの推移と発熱の有無について後方視的に検討した。【結果】月齢13-56(中央値23)、体重7.9-15kg(中央値10.1)、コイル使用本数2-19(中央値7)、総コイル長10-128cm(中央値63)、3例でAmplatzer Vascular Plugを使用した(1-2個/人)。採血時期はコイル塞栓後1-7日(中央値3)だった。CRPは術前0-0.8mg/dl(中央値0.02)、術後0-7.8mg/dl(中央値0.3)と術後で有意に高かった(p=0.043)。術後CRP陽性>0.3mg/dl)であった症例は11例(50%)であったが、CRP>3mg/dlの上昇を認めた症例は1例のみだった。コイル数・総コイル長とCRPの間にはいずれも明らかな相関関係は認めなかった。22例中、発熱を認めた症例は2例(9%)だった。【考察】フォンタン型手術前のAPCAに対する塞栓術後はCRPが上昇する傾向にあった。ほとんどが軽微な上昇に留まるが一部高値を示す症例が存在した。コイル数・総コイル長とCRPの関連は示せず、個体差など他の要因による影響が疑われた。【結語】APCAに対する塞栓術後は炎症反応が上昇するが軽度に留まる。