The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラル(II)29(P29)
電気生理学・不整脈4

指定討論者:堀米 仁志(筑波大学医学医療系 小児科)

[P29-4] 多脾症候群における徐脈性不整脈の臨床像

河合 駿, 水野 雄太, 杉山 隆朗, 池川 健, 若宮 卓也, 小野 晋, 金 基成, 柳 貞光, 上田 秀明 (神奈川県立こども医療センター循環器内科)

Keywords:多脾症候群, 洞不全症候群, ペースメーカ

【背景】多脾症の不整脈管理に難渋することが多い。至適なリズム管理を模索するため当院で経験した多脾症例の経過を検討した。【方法】2011年8月から2016年6月の期間に当院で出生した複雑心奇形を伴う多脾症18名を対象とし診療録より後方視的に検討した。観察期間、洞不全症候群(SSS)と房室ブロック(AVB)の罹患率と発症時期、ペースメーカ植え込み(PMI)の頻度と植え込み時期を評価した。心合併症に関しては共通房室弁の有無、二心室もしくは単心室修復に分類した。初診時から調律の変化を心電図で継時的に評価、PMIをした症例では心房ペーシングによるlatencyの変化を評価した。【結果】観察期間中央値は6.0年(0.6-7.5年)であった。SSSの罹患例は9名(50%)で診断時期は胎児期2例、出生後の発症は月齢中央値15ヶ月(1-42ヶ月)であった。AVBに関しては胎児診断されたものが1例、出生後診断例なし。PMI例は7/18例(39%)で植え込み時期は中央値1.5歳(日齢1-5.5歳)であった。PMIの適応はSSS単独が6例、SSSとAVB合併が1例。共通房室弁は11/18例(61%)で、うち8/11例(73%)がSSSに進展した。非共通房室弁例は7/18例(39%)で、うちSSSを呈したものは2/7例(29%)であった。(p=0.15) 二心室修復例は4/18例(22%)、単心室修復14/18例(78%)でSSSに至ったものはそれぞれ4/4例(100%)、5/14例(36%)であった (p=0.08) 。出生後の心電図で洞調律が5/18例(28%)、その他の基本調律が13/18例(72%)であった。経過中SSSに至ったのはそれぞれで0/5例、9/13例(69%)であった。(p<0.05) 心房ペーシングのlatencyはPMI直後では20ms(0-50ms)であったが遠隔期では38ms(15-56ms)であった。(p=0.058)【結論】多脾症例は比較的短い観察期間においても多くの症例でSSSを呈した。出生直後に洞調律以外の基本調律はSSSに進展する危険因子である(p<0.05,r2=0.82)。心房ペーシングのlatencyは経年的に増悪しAV delayの再調整が必要になる可能性がある。