The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラル(II)31(P31)
電気生理学・不整脈6

指定討論者:梶山 葉(京都府立医科大学)

[P31-2] 基礎疾患のない洞不全症候群の小児例の臨床像

鈴木 大, 坂口 平馬, 加藤 愛章, 中島 公子, 福山 緑, 大内 秀雄, 白石 公, 黒嵜 健一 (国立循環器病研究センター 小児循環器内科)

Keywords:洞不全症候群, 家族性, 遺伝背景

【背景】洞不全症候群は、虚血性心疾患や心臓手術後など基礎疾患を伴うことが多く、小児には少ない。そのため若年発症の場合には遺伝的な素因が強く関係するとされているが、その臨床像や予後についての報告は乏しい。【目的】当科でフォロー中の小児期発症の洞不全症候群の症例の臨床像と、その遺伝的背景から生涯医療として今後のfollowのあり方を検討すること。【結果】症例は5例。診断の契機は胎児徐脈が2例(うち1例はのちに心房細動を発症)、学校心電図検診が2例(それぞれ小学校入学時の心房粗動、中学校入学時の心房細動)、15歳時に失神にて近医を受診した際の心電図(心房粗動)が1例であった。5例中4例に頻拍(心房粗動2例、心房細動2例)を認め、それぞれ同期下カルディオバージョンにて停止。その後4例とも明らかな徐脈やpauseを認めた。心房粗動の2例は通常型心房粗動に対しカテーテルアブレーションを行った。家族背景として父がBrugada型心電図の症例が2例、家族性洞不全が3例であった。遺伝子検査ではSCN5Aに既報のvariantもしくはmutationを認める症例があった。いずれの症例も家系内に数名徐脈や頻脈を指摘されていた。まだ頻拍を来していない1例は胎児徐脈の症例で、心房細動を契機に学校検診で抽出された症例のいとこであった。【考察】基礎疾患のない小児期洞不全症候群は胎児期からの徐脈で抽出される症例と、頻拍を機に診断される症例があった。頻拍が診断の契機であった場合、頻拍治療後にBrugada型心電図が顕在化することや、後に明らかな徐脈を呈する場合があり、若年発症の心粗細動の場合には徐脈の遺伝背景に着目をする必要がある。