The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

集中治療・周術期管理

デジタルオーラル(II)32(P32)
集中治療・周術期管理1

指定討論者:平松 祐司(筑波大学医学医療系 心臓血管外科)

[P32-3] 早期の両方向性グレン手術と細いBTシャント、長期呼吸器管理でFontan手術に到達しえた高度の冠動脈異常(類洞交通)を有する純型肺動脈閉鎖症例

沼野 藤人1, 馬場 恵史1, 塚田 正範1, 小澤 淳一1, 阿部 忠朗1, 星名 哲3, 齋藤 昭彦1, 杉本 愛2, 白石 修一2 (1.新潟大学大学院医歯学総合研究科 小児科学分野, 2.新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野, 3.新潟市民病院 小児科)

Keywords:純型肺動脈閉鎖, 右室依存性冠循環, 両方向性グレン手術

【背景】類洞交通を伴う純型肺動脈閉鎖(PA/IVS)のなかでも、高度な右室依存性冠循環(RVDCC)を伴なう場合の予後は不良とされ、BTシャント(BTS)も高いリスクを伴う。【症例】胎児心エコーPA/IVSが疑われており、在胎40週2日、2670gで出生した。心エコーで低形成右室、肺動脈弁膜様閉鎖の他、右室より左右両冠動脈への血液流入を認めた。心臓造影CTでも左前下行枝と思われる枝は右室と交通後に心尖部方向へ還流して拡張が著明であり、右冠動脈は#3以降で途絶していたことから、RVDCCと診断した。RVDCCは高度であり、BTSによる拡張期圧低下と心室容量負荷は心室機能低下をもたらすと考え、生後3~4ヶ月での両方向性グレン手術(BDG)の方針とした。しかし生後2ヶ月で難治性の心室頻拍が出現しアミオダロンの持続静注を要したため、生後2ヶ月すぎにBDGを施行した。術後に両側の気胸合併からの呼吸不全によりECMO装着を余儀なくされ、術後1ヶ月(生後3.5ヶ月)にECMO離脱のため3mmGTによるBTSを追加した。酸素化は改善したものの、アミオダロンによる間質性肺炎となり呼吸器離脱が困難となった。高度のRVDCCのため酸素化維持を最優先と考えて呼吸管理を継続のため気管切開を行い、在宅呼吸器管理として退院した。在宅呼吸器管理を継続することで間質性肺炎の改善とともに呼吸状態は改善し、2歳6ヶ月でTCPCを施行することができた。今後は呼吸器離脱と気管切開閉鎖を行う予定である。【まとめ】高度RVDCCを伴なうPA/IVS症例に対して2ヶ月でのBDGを行い、細いBTSを加えても救命することができた。呼吸器離脱が困難であったが、酸素化を優先する方針でTCPCに到達することもできた。RVDCCでは酸素化を優先する治療方針は有効であると考えられる。