[P36-1] Compound heterozygoteのため若年発症した重症不整脈原性右室心筋症の女児例および一家系
Keywords:不整脈原生右室心筋症, 学校心臓検診, Compound heterozygote
はじめに】不整脈原生右室心筋症(ARVC)の発症は30-40歳代が多く、10代での報告は少ない。我々は無症状のまま学校心臓健診で発見されたARVCの小児例を経験した。【症例】13歳女児。既往歴・家族歴はない。中学入学の学校心臓検診で広範な陰性T波とε;波を指摘された。当院を受診し、右室心筋の著明な菲薄化と拡張、収縮力の低下を認めた。CT・MRIでは心室中隔および右室心筋の脂肪繊維化を認め、心筋生検においても同様の所見を得た。多型性心室性期外収縮、非持続性の心室心拍も頻回に認められた。ARVCと診断し、ACE阻害剤、βブロッカーを導入し、AED購入、運動の全面禁止など生活制限をしながら、ICD植え込み術を予定している。遺伝子検査では、Desmoglein2をコードする遺伝子の変異を2つ(DSG2; c.874C>T, p.R292C), (DSG2; c.1880-1G>A splice error)有していた。さらに、LQT5の原因遺伝子であるKCNE1の変異を認めた。両親の遺伝子検査も施行したところDesmoglein2の変異遺伝子を1つずつ遺伝していることが分かった。同胞(3名)のうち兄、末弟が父親由来の変異遺伝子を有していた。【まとめ】Compound heterozygoteであったことが、若年発症で且つ重症化した要因と考えられた。無症状であったが、重症心不全の状態で心移植も考慮される。また、ARVCに関与する遺伝子変異を有している両親及び同胞2児に関しては、未発症であるが、慎重なフォローが必要である。