[P37-3] 生直後から肥大型心筋症による高度の右室流出路狭窄を認めたNoonan症候群の一例
Keywords:Noonan症候群, 肥大型心筋症, 右室流出路狭窄
【背景】肥大型心筋症の合併はNoonan症候群において20~30%に見られる頻度の高い合併症の一つである。肥大型心筋症の重症度、発症年齢は様々であるが、約25%は診断後1年で心不全のため死亡するとされている。【症例】胎児期には特に異常を指摘されていなかった。在胎40週5日、出生体重3178g、身長49.0cm、仮死なく産院にて出生した。生直後より心雑音を認め、日齢3に施行した心エコーで心筋肥大を認めたため当院へ転院搬送となった。来院後の精査で右室流出路狭窄(peak V = 1.57m/s)を伴う肥大型心筋症(IVSd 14.0mm、436% of normal)と診断した。なお左室流出路狭窄は認めなかった。右室流出路狭窄の増悪によるspellを懸念し、日齢4よりpropranolol 1mg/kg/dayを開始した。低血糖や低血圧等の副作用が無いことを確認しながらpropranololを4mg/kg/dayまで増量し、日齢25に退院とした。遺伝子検査にてPTPN11遺伝子異常を認め、特異的な顔貌(眼間開離、耳介低位、眼瞼裂斜下)、先天性心疾患(肥大型心筋症)と併せてNoonan症候群と確定診断した。外来でのフォロー中、右室流出路狭窄は改善傾向が見られた。月齢4よりpropranololからmetoprolol 2mg/kg/dayへ変更し、その後4mg/kg/dayまで漸増した。月齢11現在、RVOT peak V = 1.45m/s、IVSd = 14.4mm(358% of normal)、BNP = 252.9pg/ml、不整脈や発作イベントは無く現在に至るまで外来でフォロー中である。【考察】Noonan症候群における肺動脈狭窄の頻度は60%程度とされているが一方で、右室流出路狭窄のみを認める症例の頻度は明らかにされていない。本症例はこれまで発作イベント無く経過しているもののBNPは高値で推移しており、引き続き慎重な管理が必要である。