[P37-4] 特発性拡張型心筋症を呈した1絨毛膜2羊膜性双胎例
Keywords:拡張型心筋症, 1絨毛膜2羊膜性双胎, 心不全
【背景】乳児の拡張型心筋症(DCM)の多くは特発性であるが、1絨毛膜2羊膜性双胎(MD双胎)のDCMの報告は見当たらない。発症以前の記録のあるDCMのMD双胎例を報告する。【症例】リトドリン・マグネシウム使用にてもtocolysis不能で、在胎32週0日に帝王切開で娩出されたMD双胎。一般的な早産児管理ののち、退院した。入院中に明らかな心機能異常は指摘されなかった。早産・MD双胎としてのフォローで生後4か月時に発達外来に受診した。突然死、心筋症の家族歴は認められない。(双胎A)体重増加は良好であったが、発達担当医がギャロップを聴取した。さらに問診で“双胎Bと比し、中断しながら哺乳する”ことがわかり、心エコーを施行したところ、左心拡大(LVDd 150%N)、壁運動低下(左室駆出率34%)、中等度僧帽弁逆流、軽度三尖弁逆流を認め、小児循環器科医にコンサルトした。心筋緻密化障害は認めず、代謝疾患は否定的で、大動脈造影で冠動脈正常を確認し、特発性DCMと診断した。抗心不全治療による経過観察中にリバースリモデリングし、BNPは23.7から<5.8pg/mLに低下した。(双胎B)無症状であったが、双胎Aの同胞のためスクリーニングを行ったところ、同様に左心拡大 (LVDd 128%N)、壁運動低下(左室短縮率42%)、冠動脈起始異常は認めず、特発性DCMと診断した。抗心不全治療による経過観察中にリバースリモデリングし、BNPは12.8から<5.8pg/mLに低下した。【結論】本双胎は、発達担当医が軽微な診察所見を見逃さなかったためにDCMと早期診断でき、早期に抗心不全治療が導入できた。DCMのMD双胎例の報告は現在のところ認められず、DCMの背景を検討すべく遺伝子検査を施行中である。