第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

自律神経・神経体液因子・心肺機能

デジタルオーラル(II)43(P43)
自律神経・神経体液因子・心肺機能

指定討論者:南沢 享(東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座)

[P43-2] 起立性調節障害における起立負荷によるQTc、QT分散の変化

阪田 美穂 (加古川中央市民病院 小児科)

キーワード:起立性調節障害, QT延長, QT分散

【背景】QT延長、QT分散(QTd)は自律神経機能と関係することが推測されている。小児では起立時にQTcが延長することがわかっているが、起立性調節障害の小児における起立によるQTc、QTdの変化を検討した報告は少ない。【目的】起立性調節障害の小児における起立直後のQTc、QTdの変化を検討すること。【方法】2016年11月から2019年11月にシェロング試験を受けた10~15歳を対象とした。小児起立性調節障害診断・治療ガイドラインに基づいて起立性調節障害と診断した患者をOD群、診断しなかった患者を対照群とした。安静時と起立直後の心電図を記録し、HR、RR間隔、QT間隔、QTdを計測した。QTcはBazett法、Fridericia法、Framingham法、Hodges法を用いて算出した。【結果】OD群69例、対照群62例であった。安静時HR(以下中央値:OD群65bpm、対照群66bpm)、RR間隔(OD群914ms、対照群899ms)、QT間隔(OD群396ms、対照群398ms)、QTc(Bazett式)(OD群418ms、対照群425ms) は2群間で有意差はなかった。起立直後に2群ともにHR(OD群95bpm、対照群87bpm)は有意に上昇し、RR間隔(OD群629ms、対照群685ms)、QT間隔(OD群381ms、対照群378ms)は有意に短縮した。QTc(OD群481ms、対照群457ms)は有意に増大した。QTdは安静時(OD群36ms、対照群24ms)、起立直後(OD群40ms、対照群32ms)ともにOD群で有意に大きかった。【考察】OD群では対照群に比べて起立時のHR上昇に対するQT間隔の短縮反応が不十分で、その結果としてQTcが延長することが示された。QTdはOD群で大きく、自律神経機能が再分極に影響することが推測された。