The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラル(II)45(P45)
術後遠隔期・合併症・発達2

指定討論者:島田 勝利(京都府立医科大学 小児心臓血管外科)

[P45-1] Fenestrationが閉鎖するフォンタン循環の特徴

滝沢 友里恵1, 斉木 宏文1, 齊藤 寛治1, 豊島 浩志1, 辻 重人2, 中野 智1, 小泉 淳一2, 高橋 信1, 小山 耕太郎1 (1.岩手医科大学 小児科学講座, 2.岩手医科大学 心臓血管外科)

Keywords:フォンタン循環, fenestration, 自然閉鎖

【背景】フォンタン手術におけるfenestration(開窓)は遠隔期フォンタン不全の予防に有効である可能性があるが、自然閉鎖する症例も少なくない。その原因は血行動態にあるという仮説を検証した。【方法】当院で経験したfenestrated TCPC連続20例を対象とし,開窓が自然閉鎖した群(C群)と,開存群(O群)について,TCPC前後のカテーテル所見、CCU帰室時の血行動態や周術期管理を解析した。【結果】全例に抗血小板薬,抗凝固薬を使用した。死亡症例はなく,C群1例に蛋白漏出性胃腸炎を発症した。C群はO群と比較し、TCPC前の平均肺動脈圧(C群:12.7±1.8 vs O群:10.6±0.6 mmHg, p=0.043)、肺血管抵抗(2.4±0.7 vs 1.6±0.2, p=0.030)、心室拡張末期圧(EDP: 9.2±4.8 vs 6.3±2.1 mmHg, p=0.055)が高いが、経肺圧較差 (TPP: 3.5±4.7 vs 4.0±1.3 mmHg, p=0.81)、主心室駆出分画(EF:56±5 vs 57±6 %, p=0.74)、BNP値 (106±84 vs 54±48 ng/ml, p=0.15) に差はなかった。また、帰室時の中心静脈圧(14.4±0.9 vs 13.1±0.8 mmHg, p=0.016)、術後定期カテーテル時のEDP(9.7±2.9 vs 7.1±2.3 mmHg, p=0.037)が高値で、C群は良好なフォンタン循環ではないことが示唆された。TCPC前後の体肺動脈側副血管に対する塞栓術・PA index・EFや、人工血管径や開窓作成方法は統計学的に差がなかった。従属変数に自然閉鎖、独立変数にTPP、EDP、PA indexを用いてロジスティック回帰分析を行うと、EDP (Wald検定:p= 0.094, 尤度比検定:p= 0.010)が自然閉鎖に影響を与えることが示唆された。【結論】自然閉鎖には高いEDPが影響を与えていた。心室拡張機能障害があると、容量負荷でEDPが急激に上昇するのに対し、肺動脈圧は肺血管プールが大きいためにそれほど上昇せず、TPPが低下する。このことが開窓の早期閉鎖に関与するとすれば、術後早期からの水分管理が開窓の開存に重要と考えられる。