The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

デジタルオーラル

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラル(II)48(P48)
術後遠隔期・合併症・発達5

指定討論者:福嶌 教偉(国立循環器病研究センター 移植医療部)

[P48-2] Rastelli術後の感染性心内膜炎で手術適応と判断したが、手術を回避できた2症例

田中 裕治 (鹿児島医療センター 小児科)

Keywords:感染性心内膜炎, ラステリー手術, 治療

Rastelli術後の感染性心内膜炎(IE)で手術適応と判断したが、手術を回避できた2例を経験したので報告する。症例1:12歳女児。TGA3型 2歳時にRastelli手術、11歳 弁付き導管入れ替え手術実施。術後5か月後から咳嗽と発熱時胸痛あり、CTで肺炎を認め抗菌薬内服で改善した。以降3回肺炎で入院。2回目入院時の血液培養1セットから S.epidermidisを検出。いずれもSBT/ABPCで治療を行い速やかに解熱したが、退院後もCRPは陰性化しなかった。術後10か月時に再発熱、咳嗽を認め入院。WBC 19,800 /μL、CRP 12.8 mg/dL、造影CTで肺動脈内に塞栓を認め、IEの診断でVCM+GMで治療を開始した。血液培養2セットからMRCNSを検出。一旦解熱するも再発熱あり。経過中VCM血中濃度高値のため休薬、再開時にアナフィラキシーショックとなった。導管再入れ替えも検討されたが、ダプトマイシン、リネゾリド併用にて軽快した。症例2:24歳女性。PA、TOF 7歳でRastelli手術、12歳 導管入れ替え手術実施。発熱、肺炎を繰り返し、エコーで疣贅はっきりしないが血液培養4セットからStreptococcus mutans陽性のためIEとして、PCG+GMで治療開始。8週後もCRP陰性化せず導管再入れ替え予定となった。しかし10週後にPCG中止したところ再発熱なく、Gaシンチも異常ないため手術延期となり、その後再発なく経過している。IE治療において抗菌剤で効果がない場合や疣贅が大きい場合に外科治療を躊躇ってはならないが、右心系人工導管内は観察困難な場合があり、血行動態が安定している症例においては内科治療で様子をみる事が可能かもしれない。治療終了において判断に難渋するが、Gaシンチよりも18F-FDG PET/CTが有用との報告があり今後の検討が待たれる。